■2次元ドリームフィーバー(作詞・作曲PolyphonicBranch) sm16973327
(※「sm~」番号は、ニコニコ動画におけるURLの末尾。「http://www.nicovideo.jp/watch/sm~」 とURLを補完すれば動画にアクセスできます。)
人間が歌うとしたら必要になる息継ぎなどに全く考慮しないフレージングや、超高速で繰り出される早口ことばのように言いにくい(けどカッコいい)歌詞、という、初音ミクさんならではの魅力全開の曲だと思いました。
「つ・つ・つ追撃 妄想 墜落 心神 喪失 逃走 脳内 物質 生成……」から始まる歌詞は、その後も漢字の熟語がぞろぞろ続きます。なんとも自由で、素敵な歌詞ではありませんか!ぎっちぎちに詰め込まれた日本語の歌詞から、作者の鬼気迫る想いが伝わってくるようです。この歌詞が、120bpm以上と思われるテンポで、たたみかけるように繰り出されます。しつように繰り返される転調と変拍子もすごいです。
リズムが楽しくて、慣れるとノレますが、初めて聞く人は置き去りです。一見さんをぽか~んとさせるのも辞さない姿勢が潔いと思います。
この歌のような、どんなに個性の強い歌でも担えるのが、バーチャルアイドルの強みなのだろうな、と思いました。この曲の場合、タレントの広報活動の道具ではない、歌の歌としての自立を、ミクさんが可能にしているように感じました。
■Hello, Worker (作詞・作曲KEI) sm15488191
就職活動や転職活動に疲れた人は、聞くといいと思います!
「B4の紙切れに収まる僕の人生を 誰かに認めて欲しくって振りまく笑顔」
「数行の”お祈り”に揺れ動く僕の人生を切り取って押し付けるように配り歩いた」
という歌詞に、はっとなりました。
おばちゃんもね、”お祈り”メール、一杯もらったから、分かるよ……。カラオケで歌いたい……と、この曲を聞いて思いました。
Vocaloid曲は十代向けの曲が多いのかと勝手に思っていましたが、私のような疲れた中年でも共感できる曲があるのですね。
「2次元ドリームフィーバー」とは対象的に、無理な転調や変拍子は一切ない、メロディ重視の気持ちいい曲です。ちなみに動画では「初音ミク」と同じ会社から発売されている、「巡音ルカ」という別の音声合成ソフトが使われています。ミクさんやルカさんなど、バーチャルシンガーが歌うと、歌い手のエゴが歌の邪魔をしないので、メッセージが際立って聞こえると思います。
■ODDS & ENDS (作詞・作曲ryo(supercell)) sm18626305
公式PV
この曲は、歌詞を見ながら聞いて、マジ泣きしました。号泣です。ティッシュを何枚も使いました。なんなんだ、このゲリラ感動は……。
私が何を書いても陳腐になってしまうので、書きませんが、一つだけ書くとしたらミクさんの電子ヴォイスで歌われるからこそ、この歌詞のいじらしさが引き立って感動が生まれる、と感じました。曲・詞・歌い手がピタリとはまった時に音楽が放つ、凄じい効果をこの曲は体現していると思います。
■まとめ
上にあげた3曲とも、全く作風は違うのですが、ミクさんや他のキャラクターたちへの思い入れはそのままに、いろんな人の作詞・作曲を聞けるのが、Vocaloid曲の魅力ではないでしょうか。
去年から今年にかけて日本で上演されていた初音ミクさん主演、世界初のVocaloidオペラ「THE END」が今年の11月からパリで上演されるそうで、こちらもとても気になります。今後も初音ミクさんは、わくわくするようないろんな革命を、私たちの生活にもたらしてくれるのではないでしょうか。
注1: 「ネット育ちの日本文化 仮想アイドルに熱狂」東京新聞(2013年9月1日,第28-29面の特報記事)という記事があったそうです(筆者は入手できていません)
注2:参考: 「初音ミク『マジカルミライ2013』リポート」 ファミ通.com(2013年8月31日) http://www.famitsu.com/news/201308/31039274.html
■歯グキ露出狂/ テレビを持っていた頃も、観るのは朝の天気予報くらい、ということから推察されるように、あまりテレビとは良好な関係を築けていなかったが、地デジ化以降、それすらも放棄。テレビを所有しないまま、2年が過ぎた。2013年8月、仕事の為ようやくテレビを導入した。