僕はこの連載をハタから見ていて、ずっと思っていたことがあります。
コメント欄、すげー叩かれてんな、と。
まぁ、無理もありません。
皆さんご存知のように、奥山村人というのは本当にどうしょうもない人間の屑です。
日本人が全員奥山のような、ぐうたらダメ人間になったら、日本は破滅です。滅ぼすべき人間の筆頭と言えるでしょう。
しかし同時に、その辛辣なコメントを見ていて、ふと疑問に思っていたことがあるのです。
あんたらそんなに偉いのか? って。
「人生相談」の悩み
いいですか? 人生相談する方だって、大変なんですよ。
毎回ね、「こんな抽象的な人生相談じゃ読者が答えにくい」とか「これって以前の内容と被ってませんか?」とか言われて、担当編集者からダメだしされたりボツくらったりしてるんですよ。
皆さんは、毎週毎週人生相談する側の苦労がまるでわかってない。
人生相談するネタはないか、とこっちは毎回必死なんですよ。
朝起きるでしょ? 思うわけですよ。嗚呼、今週も人生相談しなきゃいけないな、って。午後三時に朝飯食いながらも、家族との会話なんかうわの空で人生相談について考えてるんです。どうしたら人生の悩みを見つけることが出来るのか、ノートを持ち歩いてメモしてるわけです。
原稿に起こす前の時点で、自分自身でボツにしたネタだってたくさんあるんですよ。せっかくだからここに書いてみましょうか。
・早寝早起きが出来るようになりたい
・逆上がりが出来るようになりたい
・気が利く人間になりたい
・マメな人間になりたい
・〆切を守れる人間になりたい
・遅刻癖を直したい
・モテたい
・無駄に他人にケンカを売ってしまう
・お酒がやめられない
・努力を積み重ねることが出来ない
・虫が怖すぎる、多分殺人鬼より
・パエリアをつくりたいがどうすればいいのか
「パエリア作ってどうするんですか!? もっと真面目に考えて下さいよ」
嗚呼、幻聴で担当編集者の声が聞こえてきました。
てめーが好きで始めたことだろ、嫌なら辞めちまえ、という人がいるかもしれません。
でもね、好きで始めたことでも、毎週毎週やってたら、だんだん嫌になってくるんですよ。わかるでしょう?
僕にだって、人生相談したくないときくらいあるんです。気分が乗らないな、何も思い浮かばないな。そんな日も、なんとか頑張って人生相談しなきゃいけない。
大体、人間普通に生きてて、そんなに自然に毎回毎回、人生相談したいことが浮かぶわけないじゃないですか。まして僕なんか今、働かずに何もせずに家でゴロゴロ寝て暮らしてるだけですよ。人の悩みの殆どは人間関係の悩みなんです。人と会わない僕に、相談すべき悩みなんか本来、そうそうありはしないのです。
こっちはもう、人生相談することに疲れてるんですよ。
最後の相談は決まってるからいいにして……今回何を相談したらいいのか、あとちょっとのところで、ついにネタが切れてしまったんです。
ネタ切れになったとき、書けなくなったとき、作家というのはまぁ大抵自殺しますよね?
僕も作家とはいえないにしろライターの端くれ、今回何も書けませんでした、と原稿を落とすくらいなら死んだ方がマシです。
何故僕は誰からも人生相談されないのか
ともかくそんな試行錯誤をへて、苦労しながら人生相談しているというのに、みなさんは何ですか。
最近は人生相談にマトモに答えずに、僕の人生相談自体にケチつけて、こんな内容で原稿料貰ってるのかとか、批判ばっかりじゃないですか。
……ここで一つ一つのコメントを取り上げて、揚げ足を取ったり突っ込んだりして、またそれに反応が返ってきて、というのを繰り返すのも、なんだか不毛で生産的ではないので、やらないですけど。
あなた方には、人生相談されるありがたみとか、感謝の気持ちはないんですか?
僕はね、人生で今まで一度だって人生相談されたことがないんですよ。
まぁ、当然ですよね。無職だし、ダメ人間だし、こんな人間に何か教えを請おうとか、そんなこと思う人間、いる訳がない。
だから僕は皆さんがうらやましいですよ。
だって人生相談されるって最高じゃないですか? 気分良くないですか? 僕は今まで生きてきて、人生相談してる場面に何度か出くわしたことがあります。そのたびに、ああ、うらやましいなぁ、僕も人生相談されてみたいなぁ、と思いながら生きてきました。
離婚しようと思ってるとか、夫が癌で死にそうだとか、そういう重い相談とか、就活の相談でも何でもいい、とにかく相談されたかったんです。なのに、誰一人として僕に人生相談してくれない。
そう、どうやら、人生相談されるには、何か「格」のようなものが必要らしいのです。
やっぱり、人生相談される側に回るためには、人生で相応の成功を収めてないといけないらしい。成功してる作家とか、芸能人とか、経営者とか、何でもいいから「格上」の人間じゃないと、人生相談されないようなのです。現実の場面でも、例えば学生にしても、成績が良いとか、皆から一目置かれてるとか、そういう奴が相談を受けていた。先生だって、ただの人気者ってだけじゃダメで、何か重みとか怖さとかそういうののある人が、生徒から相談を受けていたと思います。
僕にはそういうのが一切ないんです。一目置かれたことが全くない。だから誰からも人生相談されない。
29年間、誰からも人生相談されずに生きてきた人間の悩みが、あなたたちにはわからないんですか?
……ここまで書いてきて、いいことに気がつきました。
これを、今回の相談にすればいいのだ、と。
人生相談してくれませんか?
そう、コメント欄でちょこちょこ自分語りしてる人もいるし、もっといい文章が書けるから、かわりに私に連載させろっていう人もいる。
皆さんはもしかして、僕のかわりに人生相談がしたいんじゃないでしょうか。
とすれば、発想を転換すればいいわけです。
毎回毎回僕が人生相談して、それに答える、そんな関係に皆さんも飽き飽きしてきたんじゃないでしょうか。
僕もこの連載が終わるまでに、一回くらいは、人生相談に答える役に回ってみたいんです。
どうでしょうか。
皆さん、僕に人生相談をしてくれませんか?
我ながら実に良いアイデアだと思います。
僕がどういう人間かということは、これまで一年連載してきたので、皆さんも既に十分おわかりのことかと思います。
そもそも、立派な人間にしか人生相談してはいけない、なんて誰が決めたんでしょう?
そんなものは、ただの固定観念に過ぎません。
ダメでどうしょうもない、人間の屑みたいな僕にだって、誰か人生相談しても良いんじゃないでしょうか?
というわけで、どなたか、僕に人生相談をして頂けないでしょうか。できるだけ詳しく教えてください。コメント欄への投稿が難しい場合は、フォームにお送り下さい。
ぜひ、よろしくお願いします。