オシャレ、スマート、ジェントル
「駅に着いたら電話してね」と言われていたので電話をかけてみると、「お疲れ様~!」と明るい声。「そのまま切らないでね~」と言われながら駅前で合流しました。すぐさま謎の封筒を見て「持とうか?」と聞いてくれる……。はい、ここまで完璧すぎる。女との待ち合わせに、めちゃくちゃ慣れてる……!!
向かうお店について一切情報をもらっていなかったのですが、到着するとオッシャレ~なお店。何ていうのかな、カジュアルフレンチ? ビストロ? よくわかりませんが、とにかくイケてる雰囲気。入口近くの半個室ソファ席には合コンとおぼしき男女のグループがいたり、着いたテーブル付近もカップルだらけ。
「メインは肉か魚どっちがいい?」
「サラダ嫌いなんだっけ?」
「あとは食べてもらいたいオススメがあるから適当に注文していい?」
あ~何てスマートなんでしょう。あ~よく女連れて来てるんだろうな~!
お互いの情報はほぼ皆無の状態で会うことになったので、自己紹介を交えつつ、趣味や地元、共通の友人などの話をしているうちに、会話に困ることなくあっという間に2時間くらい経っていました。なんかな、めっちゃ質問してくるねん。しかもすっごい気持ちよく話を引き出してくれるねん。それでいてお会計になったら「いやいや、出さなくていいよ」やで?
私のくだらない話を聞いてくれた上にお金出さなくていいなんて!
そしてそのまま二軒目へ……。二軒目ももちろんオシャレ。はい、オシャレ。店内中央に暖炉がございますねん。オシャレすぎてトイレがわからなくて焦るくらいオシャレ。
ソファに座って「気になる人にはどんな質問されたい? いや、別にフラグとかじゃないよ?」とか、これまたドキドキ心をくすぐる会話を展開させてきます。目の前でいちゃつき始めるカップルを見ながら、あれやこれやと喋っているとあっという間に0時前。
「そろそろ終電……」と言い出すタイミングがなかなかない。っていうかこの時間になって、さっきよりも会話のスピードが上がっている気がする……。これは確信犯なのか!?
それでもどうにか「ごめん、そろそろ終電……」と伝えると「え、ここで帰るつもり?」と急に距離を詰められ、結局2時頃にお店を後にしました。すると彼は、駅のタクシー乗り場に向かいながら、
「もうちょっと一緒にいたいな」
うわああああああああああああ!
そんなセリフ二次元でしか聞いたことねえええええ!!
あからさまにドギマギしながらも、一応「明日早いし……」と言ってみる私。もうタクシー乗り場は目の前……どうなるの!?!?
が、彼は「そっか、わかった」とタクシー代を握らせて見送ってくれました。
えええええええええ!! 紳士かよ!!!!!
……って、もうちょっと押して!? いや、私が悪かったんですよね。目の前の雰囲気イケメンに魅了され、良縁探しはそっちのけで「一回ベッドでにゃんごろしてみたい」と思ってしまったんです。でも、ちょっと猫を被ってしまった。ああ、もうちょっとお酒に酔っていれば……。一瞬たりとも躊躇してはいけなかったのだ。もういいよ、オシャレなお店とかじゃなくて、汚い居酒屋でほぼ焼酎みたいなホッピーでもがぶ飲みさせてくれたら良かったのに!!! などと心の中で大騒ぎしながら、頭を抱えて帰りました。
別に「最初からヤっちゃったら軽い女だと思われるし~」とかお高くとまってるわけじゃないんですよ? 本当に……あと少しのアルコールの力が……まぁ何を言ってもすべては言い訳。いずれにせよ失敗しました。
さて、今回私がこのデートを経て言いたいことは、「大人デートでの振舞い方」とか「そういう誘いをかわす方法」とかそんなことではありません。そんな知識ありませんから。
「顔面偏差値がそれなりの男たちがいかにヤリチンであり、そして顔面偏差値真ん中くらいの女がどれだけマッチするか」という話です。私は、顔が中の上くらいで、オシャレで、女の扱いがわかっている、めちゃくちゃ女を抱ける男たちのことを「顔面偏差値55ヤリチン」と呼んでいます(※正確には55前後)。ちなみに今回デートさせていただいた彼も当てはまります。
彼らはめちゃくちゃイケメンでもめちゃくちゃハイスペックでもありません。でも常に恋愛市場で勝ち組にいるんです。