
トンデモ理論で紙オムツを全否定。Photo by Dave Herholz from Flickr
先日読んでいた育児マンガで〈布オムツの保育園〉があることを知りました。
「ひえー。ただでさえ激務な保育士さん、さらに大変だわー」
「自然派育児をウリにした、私立の認可外保育園※なのか?」
なーんて思っていたら、なんとこれ、公立認可保育園の話なんだとか。区長による「ゴミ削減!」という鶴の一声から始まったそうです。ところが昨年、紙1枚の通達によって、そのエコな布オムツ保育は突然終了。
※公立認可保育園は自治体のルールに従い運営されているため標準的な保育が行われており、いろいろな意味で自由な認可外保育園は、保護者のニーズや独自の理念が反映されているところも少なくない。
表向きの理由は布オムツのレンタル業者(そんな商売があるんですねえ)の値上げとされていますが、巷では業者を選定する際によろしくない癒着があり、それをもみ消すためでは……なんてウワサがあるそうで、何だかズコー。さぞかし熱い育児理念と環境意識の高さからくる布オムツ推しであると思っていたのに~。しかし腹立たしくはあるけれど、EM菌や江戸しぐさを教育現場に持ち込むような〈トンデモ系〉でなかったという点は喜ばしいかもしれません。
布オムツのトンデモといえば、凄まじいのは『ママ、紙オムツヤメテ!!』(谷口祐司著・文園社)です。〈おしりカッカ、アツイよ!! 反抗的な悪い子になっちゃう!!〉というサブタイトルからもお分かりの通り、全力で紙オムツをディスる啓蒙書です。
著者の肩書は〈育児研究家〉であり布おむつ製造会社の元会長、そして現在は閉鎖されている育児文化研究所※※の理事長、さらには宇宙からさまざまなメッセージを受けとり世を正す(?)、UFOカルト活動家とも言えるでしょう。
※※過去に研究所のセミナーによって指導された無介助出産によって7人の新生児が死亡し、厚生省から注意喚起されている。
そんな著者が謳っていた布オムツ効果とは? 紙オムツはなぜいけないのか? 同書にはこんなお説が掲載されています。
・紙オムツは通気性ゼロだから、赤ちゃんのお尻はまっかにただれる。だから不快感で機嫌が悪くなり、やさしいお母さんの声も美しい音楽も赤ちゃんの心に響かず、やがて反抗的になっていく。イライラの連続の中で脳の発育も悪くなる。
(改訂版が発売されたのは1991年ですが、その当時のオムツは既に通気性も改良されているかと……)
・水分を含んだ高分子ポリマー(オムツに含まれる、水分を閉じこめる素材)を手で触ってみると、ぬるぬるぐちゃぐちゃベトベト。これが紙オムツの正体!
(いや、正体と言われても。高分子ポリマーが肌に触れない構造になっておりますし)