
「Spirit」maximum10
4月9日放送の音楽トークバラエティ番組『Momm!!』(TBS系)で、AKB48の峯岸みなみ(23)が吐露した悩みに、hitomi(40)や司会の中居正広(43)が応じた。
番組では、視聴者やゲストからの悩みをひとつずつトークテーマに採用し、世良公則や前川清、天童よしみらゲスト出演者らがアドバイスを意見交換した。後半では峯岸が「AKB48に所属して10年。現在私は23歳になり、すでに年を取ることに不安を感じています。皆さんは年齢で不安を感じますか?」という相談をしたのだ。
メンバーに中学生・高校生など10代の女子が増え、「一緒に踊っていると自分の体力の衰えを感じるんです」という峯岸だが、中居が「でも20代、スポーツ選手でも26~28歳あたりが一番体力があって良い時期だといわれる」と返すと、「えっ、じゃあ私の気持ちの問題なんですかね」と不安げに。
世良が「20歳そこそこで『もう私もおばさんだから』と自分で言うのがわからない。30~40代で本当の女性らしさが出るのに、20代でそんなことを言っても。20代なんてまだ“女性”ですらないですよ」と、大人の意見を述べると、峯岸と同じアイドルという立場から中居が「オレも40代で年取ったなと思うけど、上の世代で頑張ってる人たちを見ると自分なんかまだまだ若いなと思う」。
そうした意見を聞いた峯岸は、次に「どうしたら美しく年をとれるのか。かっこいい年の取り方の定義はないけど……」と質問。するとhitomiが、「さっき世良さんも言ってましたけど、老いることが恥ずかしい日本ってすごく恥ずかしいですよね」と切り出した。
「すぐ『おばさん』って言うでしょ? 『おばさんですよ? 何か?』って言いたくなる」
「『あの人、おばさんじゃん』みたいに(言われても)、『おばさんで何がいけないんだ?』『おばさんになっちゃいけないの?』って言いたくなる」
中居もこれに同調し、今は若い女性でもいずれ等しくおばちゃんになるのだと話した。余談だが、昨年12月2日放送の『ナカイの窓』(日本テレビ系)でも、hitomiは自身の所属事務所「avex」が「若い子ばっかりに力を注ぐ傾向がある」と不満を述べていた。若い新人、つまり新商品の売り出しに注力するのはどの業界でもあることだと思うが、彼女は相当、腹に据えかねているのかもしれない。
hitomiの弁舌は止まらず、「『美しさの秘訣は?』とかいうけど、別に何にもやってねーし」「(エステとか)そんなめんどくさいことしない」と、峯岸の「美しく年を取りたい」発言にもばっさり。確かに、別に美しく年を取らなきゃいけないなんてことはないのだ。誰でも生きた時間ぶんの年齢になり、普通に年を取ってかまわない、というか誰の許可を得る必要もないことである。
峯岸は常に<アイドル>として他者から評価される立場なうえ、AKBグループでは毎年メンバーの人気度をはかるランキングイベント(総選挙)があったり、個別メンバーの握手会で各メンバーの人気がはっきり伺えるなど、自分のアイドル価値を突きつけられる機会が多い。若く新鮮で活動年数の短いメンバーが、妙にまぶしく見えるのだろうか。しかし23歳という若さで、「年を取りたくない」と不安がるのは重症だ。
日本の女性たちが「おばさん」化を恐れ、若さを求めるのはなぜなのか。歴史社会学者の田中ひかるは『「オバサン」はなぜ嫌われるか』(集英社新書)で、そこに年齢の男女別<二重基準>があり、生殖可能年齢のリミットが、女性は男性よりも早く訪れ、閉経したら<不用物>とされてきたことなどから、加齢のマイナスイメージは女性側に圧倒的に偏っていると見ている。
しかし若い女が「良いもの」であるのは、果たして誰にとって? 峯岸みなみの気に病む「若いままでいたい。あるいは美しく年を取りたい」という欲求は、彼女のファンや彼女らアイドルを牛耳る男性たちから<不用物>と見なされたくない、尊重される存在でいたい、おばさんになったら尊重されなくなる、といった怯えから来ているのではないだろうか。