連載

狭い場所で天敵と一緒にいると、過剰なストレスでヒトもサカナもうつになる

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大和彩

病気なりに、健康に暮らす。

プロジェクトYSJ 出張報告書【4】

 先日発足した「プロジェクトUSJ(夢子に精神科を受診させる)」の続きですうつ。これまでの報告については、こちらをご覧いただきたいうつ。

うつりん「前回は、うつ病患者の前頭葉に萎縮が見られたというケースについて話したうつね。そして、この脳の萎縮やうつには、敵から逃げるのに必要な脳の部位である扁桃体がおおいに関わってるんだうつ。

魚の研究でよく使われるゼブラフィッシュの水槽に、天敵であるリーフフィッシュを入れた実験があるうつ。ゼブラフィッシュを、自然状態ではありえない過剰な天敵の恐怖にさらし続けたんだうつね。実験の結果、約1カ月で気の毒なゼブラフィッシュたちはうつ状態になってしまったそううつ。ふつう、ゼブラフィッシュは群を作って忙しく泳ぎ回ってるうつ。けれど、うつ状態のゼブラフィッシュはまったく違った様子になるうつ。群れに入らず、1匹ずつ孤立して水槽の底でじっとしてるんだうつ」

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ゼブラフィッシュ Photo by kamujp from Flickr

夢子「私も最近部屋に引きこもってるから同じだわ! なぜだかよくわからないけど、人と会うのが苦痛なのよ~。飲み会や遊びに誘われていっても、楽しくないし体もつらいから最近は断っちゃうことが多いの……。それだけでもかなり罪悪感あるんだよ! ゼブラフィッシュの気持ち、わかるよ」

うつりん「うつ状態のゼブラフィッシュは、食欲もなくなるんだうつ」

天敵と一緒というストレス

夢子「え~それも私と一緒だわ~。さっきアーモンド食べたいっていっておいてなんだけど! おやつならいいんだけど、いわゆる『食事』に関しては、ぜんぜん食欲がわかないの」

うつりん「天敵と一緒の水槽に入れられたゼブラフィッシュの体内からは、正常な状態の魚と比べて2倍の量のストレスホルモンが分泌されてたうつよ。人間も、強い不安や恐怖を受けると、扁桃体が暴走してストレスホルモンが過剰に分泌されてしまううつ。ストレスホルモンは本来、天敵から逃げるために必要なものだったうつ。

けど、ストレスホルモンが過剰という不自然な状態が長くつづくと、脳の神経ネットワークがダメージを受けてしまうんだうつ。ダメージを受けた脳の神経では情報伝達がうまくいかなくなって、脳の機能が正常に働かなくなるうつ。それがうつ病や脳の萎縮を引き起こしていると考えられているうつ」

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