連載

人生も連載も失敗したけれど、ハッピーエンドを目指している

【この記事のキーワード】

IMG_3490

生きる理由がわからなくても、生活は続く。なんだかんだ言いながらも生きてる自分に、毎朝起きる度に、嫌気がさしてくる。まだ生きてるのかよ、って。

即身仏になりたい。できれば地中深く潜って、死ぬまでそこで祈りを捧げていたい気分だった。

まだ5月というのに、京都は暑い。何もしてなくても汗が滲んでくる。汗の匂いがする。むわっとして、風が吹かない六畳一間の部屋は炭鉱みたいだ。暑苦しい。

鏡にうつった自分の顔を見て、老けたなと思う。もう29なのだ。アラサーとか言ってられるのも、後一年を切ってしまった。もうそろそろ30代だ。

というのに、というのに、何だ僕のこの体たらくは。こんなんでいいのか。よく顔を見ると無精髭も汚らしいし、目尻に微かな皺がある。あごひげに2、3本白髪が混じっている。それ以上に、髪の毛に無数の白髪が生えている。

何もしてなくても、勝手に老いというのは迫ってきて、無理矢理僕を老人にしていく。

どうせまた酷いことが書いてあるんだろうな、と思いつつ、僕は前回の相談に対して送られてきた読者からのアドバイスにざっと目を通した。

・「意味」や価値は、もともと言語を超越した生の事象を、私達の感覚器官と脳で処理した果てに出てくるものに過ぎない。その意味に拘り続けることで失われる機会は少なくない。
・澁澤龍彦は「人生には目的なんかない」とエッセイに書いていた。

そりゃそうだけどさ! と僕は思わずつぶやいた。

世界は、人間にとって都合よく出来ていない。目的も意味も最初からないんだから、探すだけ無駄。「意味」なんて限定的な言葉から外れたところに、世界の豊穣さがある。言ってる意味は、わかるんだけどさ!

それは僕には、あまりにも世界の無意味さに寄り添い過ぎた考え方のように思える。そんな風に割り切れるの? 本当に? 身近な人が自殺した朝に『彼女はただ死んだだけだ。それ以上でもそれ以下でもない』って、思うようになれるのか?

1 2 3 4

奥山村人

1987年生まれ。京都在住。口癖は「死にたい」で、よく人から言われる言葉は「いつ死ぬの?」。

@dame_murahito

http://d.hatena.ne.jp/murahito/