とても有名で、使ったことがある人も多い。でも、効果効能が一部トンデモ。そんな不思議なマタニティグッズが、骨盤を支えるための〈トコちゃんベルト〉です。
妊娠するとホルモンの影響で骨盤の関節をつなぐ靭帯がゆるんでくるため、歩行バランスが悪くなったり腰が痛くなったりと、さまざまな不調が現れます。だから、トコちゃんベルトで骨盤の下側を物理的にギュッと締め、安定させましょうというのです。でも、これだけならここまで有名にならなかったでしょう。このベルトの何が有名なのかというと、〈早産防止〉効果が謳われていることなのです。
トコちゃんベルトの販売元である有限会社青葉が発行している冊子『トコちゃんのマタニティケア・ハンドブック Vol.15-2』の表紙では、先生風の女性キャラが「早産の防止は自分でできます!」と、早速ドーン。
冊子の説明によると〈骨盤が歪んだままにしておくと自律神経機能や血液量が低下、そして冷えたり免疫力が下がったりしても子宮が収縮し切迫早産になる!〉といいます。だからベルトで骨盤を支えて子宮が下がらないようにすると、子宮の収縮がおさまり、子宮頸管の長さが回復するんだとか(ここが短くなると赤ちゃんが下がってきてしまい切迫早産となります)。……って、そんな単純なケアで解決するなら、全国の産婦人科でとっくに使われてませんかね!?
つい買ってしまったけれど
なんて言いながら実は私も、早産防止目的でまんまと購入してしまったひとりです。妊娠当時〈切迫早産〉と診断され、検診のたびにあとちょっとでも子宮頸管が短くなったら即入院! と宣言される始末。いや~入院したくないですよね。切迫早産の入院って、お腹の張りを抑える点滴を打たれながら、ひたすら寝ているだけですもん。絶対、嫌だ……! となると、半信半疑でもとりあえず巻くかと、ネットでポチリといってしまったわけです。同冊子はネットで購入したトコちゃんベルトについてきましたが、その後参加したベルトの使い方を学ぶ講習会でも配布されていました。
さて、冊子でも講座でも語られていた注目すべきお説は次のものです。もちろんすべて「だからトコちゃんベルトを使おうね」という誘導です。
●骨盤のゆるみ、ゆがみは難産や帝王切開になる原因!
(赤ちゃんの頭が引っかかって、回旋できなくなるそうです)
●分娩直後に骨盤を支えず座ったり分娩台から降りると、骨盤が大きくゆるんで恥骨結合離解になったり産後の出血が止まらなかったり、たいへんなことになる。
(なかなかにレアケースではなかろうか)
●妊娠中から骨盤ケアをすれば、乳腺炎もおきにくい。尿漏れ防止にもなる!
(乳腺炎と骨盤の関係がよく分からないうえ、尿漏れは骨盤底筋の問題ですから骨盤締めてもどうにもならなそう……)
●逆子や妊娠高血圧症候群の予防にも、骨盤ケアが重要!
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