そしてトンデモ度マックスになるのは、冊子にはさみこまれていたペラいち。
●骨盤を整えないと胎児が苦しい姿勢になり、生まれてから〈育てにくい子〉になる。
具体例:泣く、音や刺激に反応して反り返って泣く、眉間にシワがある。左右の目の大きさが違う。笑わない。抱きづらい。
でも育てにくいかどうかって、100%母親の自己申告ですよね。どうやって評価するんでしょう。
この冊子で謎理論を解説しているのは、トコちゃんベルトの開発者である渡辺信子氏です。渡部氏はネット上でも常に大胆で、〈発達障害児は、胎内での無理のある姿勢でいたこと(=骨盤が歪んでいた)が原因〉という趣旨の発言をしたり、自身のブログで〈一般の市販されているパンツを履いているだけで、不妊、早流産の原因になりがち〉とさらなる謎発言を発信したりしています。http://blog.ap.teacup.com/majyosanba/167.html
こんな話を聞かされて、トコちゃんベルトを買った人たちが「私はベルトで骨盤ケアしてるから安心だわ!」となるわけもなく、「え~。トンデモさんの商品を買っちゃったかしら」と微妙な気持ちでいっぱいになりそう。
ベルトのせいとしか思えない!
さて、実際の使用感はどうでしょうか。私の体験では、残念なことに妊娠期No.1と言えるレベルのトラブルが起きてしまいました。
ベルトを締めて家事をしていると、下腹周辺に何となく違和感が……? なんて思っていたら、あっと言う間にギュギュギューッと締め付けられるような激痛。その痛みはいわゆる〈ふくらはぎがつる〉あの感覚そっくりですが、足がつったときのアレよりも、はるかに広範囲。あまりの強烈な痛みに息がつまり、脂汗がドッバー。「あだだだだだだだ!」と叫びながら床に転がり動けなくなり、もしかして今ヤバいのか!? と混乱しながらもなんとか痛みを観察してみると、痛いのはどうやらお腹ではなく鼠蹊部(脚のつけ根)の奥あたりです。
後から検索したところ、どうやら、重くなってきた子宮を支えている靭帯が痛くなるという〈円靭帯痛(えんじんたいつう)〉の可能性が高そうでした。不自然な体勢なうえ、使いなれないベルトで脚のつけ根近くを締めていたので、筋肉がびっくりしたのかもしれません。もちろん、トコちゃんベルトと痛みの因果関係は不明ですが、ベルト着用時に限ってそうなったのは確かです。その後も数回同じことが起こり、なんとな~くコレ(トコちゃんベルト)が怪しいのでは……という予感がして、結局2週間ほどでお蔵入りとなりました。するとその後は、痛みは一切起こりませんでした。
私は無痛分娩だったこともありますが、妊娠出産を通しての〈痛み〉は、この件が最大級です。八つ当たり的に「なんだこのベルト!」な~んて思いましたが、最終的には子宮頸管が短いながらも何とか正産期まで持ちこたえ、母子ともに健康に出産を終えることができましたので、10分の1くらいはトコちゃんベルトのおかげなのかもしれません。もちろん、真偽は一生わかりませんけど。
(謎物件ウォッチャー・山田ノジル)
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