お股の向こう側
ダッシュの甲斐あり、ギリギリで婦人科の最終受付に間に合ったキュウ。
一緒に取り乱したステディもうっかりついてきて看護婦さんにたしなめられたキュウ、ごめんなさいキュウ……。
名前を呼ばれ診察室へ入ると、岩下尚史みたいなおじちゃん先生が座ってたキュウ。
しQ「おりものがすごくニオうんですキュウ……」
岩下「うん、ニオイね」
診察はたったのそれだけで待合室へ戻る!!!!!!
おい岩下、そんだけでええのんか!?!?!?
……不安な気持ちが増幅し続ける中、しばらく待っていたら今度は検査室へ呼ばれたキュウ。
下半身だけ裸になって、お股を開く台に乗り開脚。
お腹の上のカーテンの向こうで、岩下尚史似ドクターが穴に何かひんやりした感触の器具を挿入したのがわかったキュウ。
岩下「あ!」
何だよこえーキュウ!!(泣泣泣)
カーテンの向こうでコソコソ話と看護婦さんがバタバタ動く音……泣きそう。
死ぬの? あたし、死ぬの?

生きたい!!!!!!
右の頬を涙がツーッとつたったキュウ。
すると岩下似ドクターが、こう聞いてきたキュウ。
岩下「あなた生理のときタンポン使いますね?」
しQ「?……はい」
岩下「前の生理のときのタンポンが中に残っちゃってますね」
…………えーーーーーっ!!!!!
オイニー騒動が始まったとき、確かにうっすら「まさかタンポン?」とは思ったりもした、したキュウけど、「はは、絶対抜いたしw」という自信がその選択肢を削除していたキュウ。
岩下「人間って忘れやすいものですよ、鍵かけたのにかけたか分からなくなって戻ったりね」
……キュウの音も出ねえ。
岩下「タンポン見ますか?」
しQ「……じゃあ、グロくなければ……」
おもむろにカーテンがめくられ、下半身まっぱ状態で台から降りたあたしに、ビニールに入ったタンポンが差し出されたキュウ。
ばあちゃんのなかなか治らない痣みたいな、洗い流されても染み込みすぎて消えませーんという感じの、発色の悪い薄紫色の、クタっ……としたタンポン。
ってかなんのためのカーテンだよ、顔も下半身も素で丸出しじゃねぇか。
とはいえ、これにて一件落着。
すべてはあたしの
タンポン抜き忘れ
が原因でしたキュウ。
膣内に雑菌が増えているとのことで、処方箋が出されたキュウ。
外で待っていたステディと薬局へ行き、「タンポンだったキュウ~めんご★」と報告しながら、はっ!と気付いたキュウ。ステディのちんこが赤くなってしまったのは、あたしの中のタンポンで擦れてしまったからだキュウ!
指入れてなんか出っ張ってるって言ってたし! ってことはあのときからタンポン入ってたんだキュウ。えーとつまり、少なくとも6日くらいは膣内に入っていた。すでに入っていたタンポンを抜き忘れて2本目を入れてしまい、最初に入ってたタンポンは紐ごと奥へ……。
ちなみにステディのちんこはその後、かさぶたみたいになってぺろっと剥けて治ったそうだキュウ。
薬局で、薬剤師のお姉さん(明らかに若い)がお薬の説明をしてくれたキュウけど、「あの、完治するまでは、あの……(ちらっとステディを見て小声早口で)彼氏さんとはお控えに……(目をそらして赤面)」と指導があったキュウ。なんかごめん……。あたしの下半身でいろんな人に迷惑かけてごめん。
次の出勤時、ミツコさんとファブリーズを貸してくれた同僚に報告すると「あの時は言えなかったけど、ケモノの死体みたいな臭いがしたよ」とハッキリ言われたキュウ。
お前らもマン臭事変には気をつけろキュウ~。
……って、軽い感じでシメかけたけど、一歩間違えればコレまじで、あたし死んでたキュウ!!!!
最後に自分への戒めも込めて警告。
タンポンは便利だけど、長時間の使用や不衛生な状態で使うことにはリスクがあるキュウ。
あたしが使って膣の奥深くに忘れてしまったタンポンも含め、市販のほとんどのタンポンは化学繊維でつくられていて、膣内に長時間入れておくと黄色ブドウ球菌が繁殖し、タンポンショック(TTS:トキシックショック症候群)という恐ろしい病気を引き起こす懸念があるキュウ。
極めて稀な病気ではあるものの、もしあたしがあのまま悪臭を放置していたらTTSが発症して短時間で非常に重篤な状態に陥っていたかもしれない……ナメたらあかんのじゃ、悪臭!
今回、あたしがかかった婦人科ではこのことを細かく説明しなかったし、あたしの悪臭が黄色ブドウ球菌の繁殖によるものだったのかどうかも聞けずじまいだったけど、死んでたら笑い話では済まないのキュウ。
タンポンの置き忘れは絶対にダメだし、長時間のいれっぱなしもダメ、絶対。
そして「絶対抜いたしw」なーんて自分を過信しちゃダメなんだキュウ~~~(怒怒怒)
あたしも、次回の生理からは肝に命じておくキュウ……。