
精子が見れるんです。Photo by Zappys Technology Solutions from Flickr
ねえ、自分の精子を見てみない? 私がそう持ちかけたのは、友人のホモくん。その名のとおり、ゲイです(20代、モテない)。ローティーンのころから自分の精液はイヤというほど目にしてきているだろうけど、精子は肉眼では見えません。どろっとした白濁液のなかに、ほんとうに精子がうじゃうじゃいるのかどうか……当の本人にもわからないのです。でも、妊活中で、男性不妊を心配する人は別として、多くの男性にとって精子がいるかいないは、どうでもいいこと。それよりも「いっぱい出た?」「すごく飛んだ!」など精液の量と勢いを気にしているのではないでしょうか?
男性にとっては、自分の身体で作られているものなのにまったく知らない精子を自身の目で目撃できる! というアイテムが発売されました。「TENGA メンズルーペ」と名付けられた精子観察キットの何が画期的かというと、スマホに拡大レンズを取り付けて、スマホ画面上で精子の動きを観察できる点。えっ、そんなに簡単なの? 私も驚きましたが、拡大倍率550倍のレンズであれば、約0.05~0.06mmの精子が見えちゃうらしいのです。スゲー。
不妊の原因の約半分は男性にあるといわれますが、男性にとっては「自分がそうかもしれない」と可能性を考えることすらオソロシイことのようで、「病院に行こうとしない」「不妊治療に協力的でない」という女性の不満が日本の家庭のあちこちで噴出しています。治療さえすれば子どもを授かることができるのに、自身の精子と向き合えない男性のせいで、いつまでもベビ待ち状態が終わらない……そんな女性の胸中を考えると、心が痛みます。精子の検査なんて、基本的に自分で射精したものを提出するだけだから簡単じゃん。女性の不妊検査みたいに痛い思いをすることもほとんどないのにそれをできないなんて、超~チキン! そうじゃなくてプライドの問題だよ、ほら、男のほうが繊細だからという声も聞かれますが、女性にプライドがないとでも? 女性だって繊細です。
精子よりも、精液が気になる
この精子観察キットでは、病院に行かずに精子の状態を確認できます。もちろん、たくさんのオタマジャクシがウヨウヨ泳いでいても、それがすべて正常な精子とはかぎりません。医療器具ではないので、何らかの診断を下すことも不可能です。でも、自分の精子と向き合う最初の一歩をこんなカジュアルな形で体験できるのであれば、それは決して無意味ではないはず。まあ、「自分の精子と向き合わない」と「この観察キットでまずは精子を見てみる」のあいだにある河をひらりと渡れる人は、そもそも「病院に行って不妊検査を受ける」のあいだにある大河も渡れる人なんでしょうけどね。道具がいくらカジュアルでも、向き合わない男は向き合わないから。
さて、「精子を見てみない?」と声をかけた相手が、なぜホモくんなのか。ゲイ男性で、将来的に子どもを持ちたいという希望がない彼は、「俺の精子」について一生考えずに済む可能性が高いからです。そんな私の思惑を汲みとってくれて、「見る、見る!」とまさにふたつ返事で引き受けてくれたホモくん。お礼はHOT TENGA(あったかオナニーを楽しめるTENGA)です。かつて、「バキューム式オナホって気持ちいいの? 男性グッズについてゲイ男子と語る」という記事に協力してくれたこともありましたが、彼は超TENGA愛好者なのです。
いざキットを使ってもらうその前に、ホモくんの「精子観」を聞いてみましょう。
ーーいままで自分の精子について考えたことってある?
ホモくん「セックスやオナニーについて考えたことはあっても、自分の精子について深く考えたことはないなぁ。『精液がたくさん出る=俺のチンコは元気! だから精子も元気!』ぐらいの認識だから、どっちかっていと精液のほうが重要」
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