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無職アラサー男性の人生相談・最終回 これからどうすればいいんだろう

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大切だった人の記憶が、どんどん、薄らぼんやりとしていく。僕は二人のその顔や声の雰囲気や表情を、もうはっきりと思いだすことは出来なかった。「みっともないすね」と言って彼は笑った。「カッコ悪いですよ」と言って、彼女は笑った。

「僕は、裏切り者なのか?」
「へたれの凡人なんだから。日々の、ちょっとした幸せとか、噛みしめて生きればいいじゃないすか」

でも、僕はそれは、嫌なんだ。

嫌なんだ。虚しいんだ。生きていることが、虚しくて虚しくて、しょうがなくて、嫌なんだ。答えのない日々が。

嫌なんだ。生きてるんだか死んでるんだかわからないような毎日が。

嫌なんだ。生きてる実感を得るのが。掴むのが。

日々を生きる、「止まない雨はない」と誰かが歌う。それはきっと本当にそうなんだろう。そして雲間から暖かい日差しがさしてくる。いつかそのとき、僕はきっと思うんだ。生きるのも満更じゃない、って思うんだ。嫌なんだ。本当に。君たちが死んだのに。

昨日久しぶりに君の、mixiの日記を見たよ。僕たち、写真でも撮っておけば良かったのかな。三人で、一緒にさ。バカみたいに、ピースして。

「私たちは、永遠に思春期なんです。美しい少年少女のまま。でも、奥山さんは、これから老人になるの。老いと病、生やさしくない、あらゆる厄災が降りかかる」

・結局最後まで読んでもなにが言いたいのかわからなかった(笑)

「なぁ。結局、生きてる意味って何なんだ?」
「そんなのは、自分で考えて下さい。甘えないで下さいよ」

さよなら、今までありがとう

そこまで妄想したとき、携帯が震えた。見ると、ミョンちゃんからのLINE通話だった。

「最近、何してるのさ?」
「何もしてないよ。……今までと、同じで」
「じゃあ、いつ始めるの?」

・信用されると死にたくなる理由を教えてほしいです。わたしもだから。

理由は簡単だ。それは、自分が自分自身を、1ミリも信用してないからだ。信じられない僕を、誰かが信じるから、自分が信用に足る人間じゃないって、知っているから、それだから死にたくなる。

・ここに厳しいことが書いてあっても、私はやっぱり変わるのは今しかないと思っていて。

本当、格好悪いな。

引き返すなんて。

寂しくなるな。

二人に、共感しないと決めるなんて。

僕は川の向こう岸に向かって、心の中で強く叫んだ。

太宰治、芥川龍之介、さよなら。カート・コバーン、シド・ヴィシャス、イアン・カーティス、さよなら。山田花子、南条あや、二階堂奥歯、デレク・ハートフィールド、さよなら、さよなら、さようなら!

大好きだった。尊敬してた。みんなのこと。自分より、世界中の誰よりも。僕の、親で、恋人で、ヒーローで、憧れだった。死ぬほどカッコ良くて、だから、死んで。

自分の意志で死を選ぶ、それはこの世界と運命に対する、絶対唯一の、勝利の方法だ。

だけど僕は、負けたのだ。

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奥山村人

1987年生まれ。京都在住。口癖は「死にたい」で、よく人から言われる言葉は「いつ死ぬの?」。

@dame_murahito

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