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棒演技とベタベタ演出、突然のエアギター『せいせいするほど、愛してる』は尋常じゃないコントドラマ!!

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 びっくりしたのが、未亜と海里の出会いのシーン、つまり海里の登場シーンなのだが、「こんなに小さい人でしたっけ?」と目を疑うレベルのちんちくりん。公称身長が169cmらしいので実際は162cm程度だろうか。淡い青のジャケットとパンツが不気味さをいっそう引き立てていた。失礼ながら32歳設定の副社長にはとても見えない。実年齢は34歳だけど貫禄ゼロ。年齢不詳。演技は言うに及ばず……。かわいい年下の高校生役ならあれでいいのだろうが、何度も言うけど「アメリカ帰りの有能な副社長」には見えない。前クールのドラマで社長役をやった嵐・大野智も似たようなものだったけれど、あれはコメディだから多分大丈夫。こっちは全力でカッコつけてるのに笑ってしまう出来だからヤバいのだ。

 ほかの出演者も軒並み演劇部未満学芸会以上という惨状で、トレーダーで小説家でイケメンという設定の男(トリちゃんが即ハメ)を演じた歌舞伎役者の中村隼人がとりわけひどかった。ちなみにこっちはまだ役者の実年齢が22歳なのだが、役どころは27歳。こっちももう年齢不詳。あえて“キモい男”を演じているとしたら秀逸だ。登場した瞬間は「尾上松也、ちょっと見ないうちにキモさ軽減したのかな?」と思ったが、歌舞伎役者違いだった。

 “キモい男”といえば、未亜にプロポーズを断られてストーカー化した元カレも、もちろん気持ち悪い。というより、壁に隠れて背後から未亜を凝視するなどベタベタなストーカー演出しかできない演出家がひどいのかもしれないが。セキュリティばっちりのハズの高層オフィスビルに、ストーカー男が容易に忍び込んでエレベーターにまで乗り込んでしまうのもただ白けるばかりだ。絶対に不要なのに登場した横沢夏子とGENKINGにはもはや触れたくもない。一瞬だけ鈴木奈々もいたが、これは本当にごく一瞬でフェイドアウトしたのでまだいい。

 棒演技とキモ男のみならず、セリフのすべてがベッタベタで薄く、人間という生き物の複雑さゼロ。このドラマ、ひとつも「ドラマとして」良いところがない。強いて言うなら、ドレスアップした武井咲が綺麗だということくらいだ。

「エア」である理由は?

 さて、第一話の山場が、ラストの長回しキスシーンではなく、中盤の「タッキーエアギター」であったことだけは、全視聴者異論がないところだろう。未亜にマノロブラニクの靴(お高いやつだ)を贈ったものの突き返されてしまい、「奥さんがいるのにテキトーなことするのはやめて」と言い放たれた海里は、超高級マンションと思しき内装の自宅に戻って、唐突にエアギターをはじめる。同時刻、やはりモヤモヤした気持ちを抱えて退社したであろう未亜はカラオケボックスでブルーハーツを熱唱する。交互に流れるカラオケとエアギター。リビングテーブルの上に尻から乗っかって、ブリッジ状態で全身全霊のタッキーエアギター。これが冗談でやってるんじゃなく、「こういう夜は俺はエアギター鳴らすってキメてるんで」と真面目な顔で言いそうなほど本気モードなのだ。毎週エアギターの可能性すらある。普通にギターをかき鳴らすんじゃダメだったのか? マンションの防音の関係? そんなとこだけリアリティ出されても……。

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