「ヘイ! 今どんな感じ?」いや、もうナンパのセオリーとか全部無視ですよね。そんな質問あるかい! っていう。私が言葉を失っていると、Iちゃんが「ザワついてる」と超適格な返答をしたので、私も「ザワついてる」と言うと、「ザワついてる二回はあかーん!」とキツイ突っ込み。「てか、めっちゃ買い物してるやん!」「今来たん?」「何飲んでるん?」と矢継ぎ早に怒涛の質問責め。
続いて現れましたは、髪ボサボサのシャツよれよれマン。「どうもー! 生まれてこのかた22年彼女いませーん!」しかも自称童貞というオプション付き。
変な人はまだまだ現れます。「何飲む? ヤクルト!? お兄さんヤクルトひとつー!」と団扇片手にヤクルトおじさん登場。めちゃくちゃボケ倒しますやん……。常連だと言っていましたが、いつもひとりで来ているとのことで、相方不在のひとりでボケ倒すおじさんでした。
もう駄目……。イケメンもいないし、黙っていたらみんなボケ散らかしてくるし、辛い。あ、もしかして、大阪住んでた時より年取ったし、こういう人たちにしか声かけられなくなったってことかな……。いやいや、でもここで何も収穫がなかったら、大阪まで来てナンパスポットに繰り出した意味ない! 奮起して気になる人に自分から声をかけることにしました!
そうなんです。さっきからずっと視界に入っていた、唯一気になる男の子がいたんです。前髪重ための塩顔に細身のパンツにTシャツにリュックという「大学生バンドマン」みたいな男の子。「もうあの子に声かけて、それでも無理だったら帰ろう!」と近づいたはいいものの、何度視線を送っても気づいてくれない……。というか、彼はもうひとり友達も一緒だったのですが、2人とも女子と全然喋ってる様子がない。仕方なく「何飲んでるんですか?」とド定番の声かけ逆ナン開始しました。
すると、相手は明らかに挙動不審で「何言ってるか全然わかんないんですけど」を連発。すぐに察知しましたよね……。あ、これは「男版不思議ちゃん」や……。顔はまぁいいとして、このキャラは普通にボケ散らかす他の人たちよりもある意味キツい……。というわけで、会話もそこそこにケリをつけて帰ることにしました。
エントランスに出たところで、今度は3人組……いや、もうここはトリオと言わせてください。トリオが登場して「ね~ブスしかいなくな~い?」「もうやだ~」「今日全然イケてな~い」とオカマキャラで話しかけてくる!
そういえば、この「スイッチバー」にはアルコール度数35%のお酒・イエガーの飲み放題サーバーが設置してあるんですよ。すっかり素面に戻った私は、エントランスに置いてあったサーバーから1ショットついで飲み干して外に出ました。「いや、帰るんかーい!」というオカマトリオの声を背中に浴びながら。変な奴に遭遇して、ちぎっては投げちぎっては投げ……さながらRPGでモンスターにエンカウントしているみたいでした。このクエストでレベルアップしたかな、私。