インタビュー

男と女の不公平~被害者意識がもたらすもの/しQちゃんmeets二村ヒトシ【3】

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しQちゃんの吐きそうな日常

(C)shiqchan

クソリプから始まった危険なカンケイ……
ドキドキのヒトシ・ミーツ・しQ対談、いよいよ最終回です!

<1:二村ヒトシさん、巨根好きの女はバカだと思いますか?>

<2:あらかじめ世の中に用意された「欲望」に従うと引き裂かれる>

女に救われる男、男に救われない女

――二村さんは「誰でも心の穴が開いている。子供に心の穴をあけない親などいない」。

二村 そう思うんですよねぇ。

――と、おっしゃっている。でも「自己肯定感は後から得られるものではない」とも言っている。ということは?

二村 まあ「あまりにも自己肯定感が強すぎる、という心の穴」をあけられていて、そのせいで周囲に迷惑かけがちな人も、たまにいますけど。

女性の多くは自己肯定感が弱いですよね。そういう人は苦しい恋愛、苦しい結婚に陥りがち。一方、多くの男性は、おっさんになってからインチキな自己肯定をして、イバッて生きている。

どちらにせよ、恋の相手に「愛してもらおう」と努力するのは自己肯定感の外部発注なので、普通うまくいかない。けっきょく人間は、恋愛では救われることはないわけですよ。

いい恋愛ができれば自己肯定ができるようになるはず、でも、その「いい恋愛」をするためには自己肯定感が必要……、という矛盾。

Qちゃん ウゥー、救われないキュウ~、スピリチュアルしかない、こうなったら。

――えー。

二村 スピとか宗教とかがキモくなる可能性があるのは、他の人の話をまったく聞かなくなったり勧誘しようとしたり、お金がかかりすぎたり健康を害したり人生が破滅したりするからで、キモくないスピだったら、いいんじゃないですか? 恋愛で救われようとして男に依存するよりはマトモですよ。

セックスによるオーガズムで救われる人もいるけれど、セックスでメンヘラ度が増す人も多いし。出産や子育てでメンヘラが治る女性もいれば、それによってますます不幸になる女性もいる。自分にとっての向き不向きを見つけるしかない、としか言いようがない。

ただ、何でもいいんですけど、何かによって一度「自分」が壊されてみるのは必要なんじゃないですか。それで救われるか、もっと苦しくなるかイチかバチかってところもありますけど。どうですか?

Qちゃん ちょっと全然、わかんない。宿題にしてほしいキュウ。

――救われないにしても、これ以上傷つきたくない、ってなったら、なんらかの形で身をガードしたほうがいいと思うんですよね。最近、messyで「絶対妊娠しないコンドーム」つくりたいと考えていて。どうやったら妊娠しないかってことをもっと真剣に考えたほうがいい、と思うんですよ。

二村 ピルは?

――飲んでます。

二村 ピルだと副作用が危ない?

――えーと、やっぱり、年齢が上がってくると、ピルはどうしても血栓症のリスクが高まってしまうので。20代ならまだいいんですけど、30代後半以上の年齢になっていくと、積極的に「飲みましょう!」とは言えない。でも30代後半~40代って、まだ閉経してないしセックスすれば妊娠可能性があるから、その世代はコンドームしかない。

Qちゃん あたし30代前半だけど、まさに今、血栓でピル服用をやめてるところキュウ。

――出来ちゃったの? 血栓?

Qちゃん 婦人科で定期の血液検査したら、ちょっと数値が悪くて血栓出来そうだから、中止しようってことに。

二村 体質にもよるんだよね。向いてる人と向いてない人がいる。でも生理不順とか、精神的につらいのには、けっこう効果ある。

Qちゃん せっかくピルでPMSがめっちゃ軽くなったし、28日周期で必ず生理が来るようになってたのに、やめたら辛いキュウ……。友達もピルユーザー多くて、「ピル飲まない生活とか、ちょっと怖くてもう考えられない」と。

――ピルを飲んでることで一番嬉しい、というか安心感があるのは、セックスをしても多分妊娠してない、というふうに思えること。その安心感で生活の質が上がる。私はどうしても絶対に妊娠したくないんです、今。で、さっきの繰り返しですけど、血栓でピル止めても妊娠可能性はある。40代女性の中絶率、低くはないじゃないですか、夫婦間のセックスでデキちゃうんですよね。で、そう考えたら、「ピルが(血栓問題で)危険だ!」っていう年齢から、「閉経」までの間の10~15年という長い期間にね、妊娠を絶対に防ぐ方法って、もっと真剣に考えたほうがいい。避妊リングもあるけれど保険適用外ですし、出産経験のない人は装着できない。もちろん、ピルを飲めない体の女性だっているわけだから、そういう女性の避妊についても。現状のコンドームって、装着するかしないかも装着方法も含めて男に委ねる部分が大きいから心もとない。

Qちゃん あたしはちょっと前まで産みたい気持ちあったけど、最近また迷ってるキュウ。現実的に考えたら、やっぱりリスクが高すぎる。

二村 しQちゃんの今のセックスのパートナーは、結婚には向いてない人なんですか?

Qちゃん うん。相手も「妊娠したら困ります」と言ってるキュウ。不倫じゃねえけど。

二村 不倫じゃなくても、望まぬ妊娠は怖いよね。

――なんでセックスしたら妊娠しちゃうんでしょうねぇ……もっと楽しみたいじゃない。

二村 まったくだよね。

――妊娠しちゃうと、なんか全然楽しめない。もう、本当に楽しめない、私。一回妊娠を経験してから一度も楽しくない、セックス。

Qちゃん よみがえってしまうっていうこと? 恐怖が。

――妊娠や出産自体が恐怖っていうわけじゃないんですけど、また産んで育てるのは、私のキャパでは無理なんですよ。なので、セックスが終わったあとに、次の生理が来るまでの間の不安感が、以前にも増して強くなりました。もう本当に嫌、絶対嫌、っていうすごい恐怖心が。だって妊娠も出産も育児も、また引き受けなきゃならないの? って。

Qちゃん じゃあやってみて、やっぱり、産まない方が良かった、って思うキュウ?

――うーん、そこは難しいな。どっちでも良かったかも。でも、今は(子供が)現実にいるから。今は今で楽しいしすごくいいんですけど。こっちの道でもいいけど、あっちの道でも良かったし、どっちでも良かったんじゃないかなって。ただ、ここから先、もう大きな変化が欲しくないんですよね。だから、二度目の妊娠はNOだ、みたいな。

Qちゃん じゃあ、人に出産を勧めたりとかは。

――しない。絶対勧めない。できて、産もうかどうか迷ってるっていう人には真剣に話をするけど。子供欲しいなー、とか言ってる人に、「いいよ~子供、産んじゃいなよ~」とか言ったことないです。

Qちゃん そのほうが信頼出来るキュウ。妊娠や出産を勧めてくる女は、あたしを同じ不幸に引きずり込もうとしてるんじゃないかって思うキュウ。

――だって自分の人生がね、すごく大きく変わったもん。他人の人生を大きく変える、場合によってはブッ壊すような一大事をさ、気軽に勧めたりできないですよね。そう、だから私自身が純粋にセックスを楽しめるのは、やっぱり、閉経してからかな……って、思います、正直。二村さん、すごいシブい顔して黙ってますけど、どうしました?

二村 ……や、これは難しい問題だな、と思って。

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しQちゃん

子宮のゆるキャラ(妖精)。アイドルに貢ぐために週5+日払いバイトで馬車馬のように働いているキュウ。生理前は情緒不安定になるけれど、今日も元気に頑張りまシュッサン☆ 

@sheQchanz