
ストーカー男が100%悪い。Photo by Patrik Nygren from Flickr
気が置けない人たちと飲んでいたときのことです。女性のひとりが、過去、ストーカー被害に遭った経験を打ち明けました。曰く、交際した男性と別れた後、その男性がストーカー化がしたケースが3度あった、と。仮にその女性をAさんとします。
交際中はAさんの家で過ごすことも多かったため、当然、元カレたちは自宅の場所も知っています。彼らの目的は、いうまでもなく復縁です。彼女のマンションの部屋が見える路上から、行動を監視されることもたびたび。ひとり暮らしの女性が身の危険を感じるには十分です。しかもそのうちのひとりは、家に入れてもらえないことを不服とし、ついにはベランダから窓ガラスを割って部屋に侵入してきたとか。ちなみに彼女の部屋は2階にあるそうです。そのとき彼女を襲った恐怖は、いかばかりか……。はっきりと命の危険を感じたことでしょう。
しかし、飲み会の席での男性陣の反応は、「いや~、男にそこまでさせるって、Aさんも罪な女だねぇ」というものでした。え? Aさんに原因があるとでも? そして次のような会話を交わしました。
「それはないよ。男が異常なだけじゃん。フツウはそこまでしないし」
男性陣「だからこそ、やっぱり男性にそこまでさせる何かがAさんにはあるんだよ」
「Aさん何もしてないのに勝手に男がエスカレートして、そんな犯罪まで犯しちゃったんだよ?」
男性陣「Aさんが、それだけの女ってことだじゃん」
ストーカー被害者は、圧倒的に女性
あ~、なるほど。男性はむしろ「それだけAさんはいい女、男を狂わせる魔性の女」として、“称賛”しているつもりなわけですね。なんという履き違え! 悪気がないから、何を言ってもOKというわけではありません。が、当のAさん本人まで「別れるときに問題があったのかも……」と自信なさげに言い出すのです。非常にナチュラルな形で自己責任論が形成されていく様を目の当たりにし、せっかくの酔いが急速に醒めていくのを感じました。
警察庁の「平成27年におけるストーカー事案及び配偶者からの暴力事案等の対応状況について」という調査を見ると、被害者と加害者の関係で「交際相手(元含む。)」は、なんと49.6%。被害者の性別はだいたい、男性:女性=1:9。この手の話が出ると「でも女のストーカーも怖いよ」という話になりますが、少なくともこの調査で出ているような危害を加えるストーカーとなると、圧倒的に女性のほうが被害をこうむっていることになります。
「罪種別内訳」を見ると、殺人(未遂)から傷害、暴行、脅迫、強姦、住居侵入、器物損壊など、こうして並べるだけでも背筋が寒くなるようなものばかり。交際相手、元交際相手がストーカー化して危害を加えてくるという危険性は、どんな女性にとっても無縁のものではないということでしょう。
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