昨年、一昨年は「愛とセックス」をテーマに掲げた雑誌『an・an』のセックス特集、今年はキマした「セックスでキレイになる」! まったく同じキャッチコピーで、同誌が初めてセックス特集を打ち出したのは、1989年のこと。四半世紀以上経って、あらためてこのキャッチコピーを押し出してきたとなると、それなりの意図があるに違いありません。
セックスで女性はほんとうにキレイになるのかーー個人的には、至極どうでもいいテーマです。といってしまうと身も蓋もありませんが、人はキレイになるためにセックスするわけではないからです。「彼にキレイだと思われたいからボディを磨く」とか「日常的にセックスをするようになったから、仕草が色っぽくなった」とか、同誌にもこうしたありがちな“理由”が紹介されていますが、セックスが美へのモチベーションとなるかどうかは、その人次第です。
私は、男性誌をはじめとする男性向けメディアで「セックスでかっこよくなる」というフレーズを見たことがありません。セックスで何かが「変わる」とされているのは、いつも女性です。私はとてもニガテですが、「セックスすると、女性に母性が芽生える」と主張する人もいます。同じ理屈でいうなら、男性に父性が芽生えてもいいのでは?
男性が女性に「美」「母性」を与える
あくまで持論ですが、この裏には“セックスにおいて男性は与える側で、女性は与えられる側”という固定観念があるように思います。それによって女性は変容する、というところまでがセットです。たしかにセックスすることで女性は男性から精子を受け取り、その身体に妊娠という非常にドラスティックな変化が生じることがあります。そもそも性器の形からして女性は男性のものを受け入れる形になりますが、そうした生物学的な構造や、フィジカルな変化と、美だ母性だといった抽象的で実態のないものを一緒にする必要はまったくないと私は考えます。
ただ、本誌の読者(200人)アンケートによると、「約9割の女性がセックスが好き」で、「約9割の女性が“セックスでキレイになる”と思っている」そうで、じゃあキレイになるためのいいセックスはどんなものかと問われれば、またしても約9割の女性が「互いに愛情を感じられるセックス」と回答しています。すごい割合!