■女の子が欲しい場合は?
排卵日2日前に、浅く挿入して即行終わらせる「あっさりセックス」を行う。膣内が酸性に保たれるので、寿命が短くかつ酸性の中では活動しにくいY精子だけが、卵子が出てくるまでにいなくなる。そしてそれぞれの環境を後押しするために、膣内のphをコントロールするための潤滑ゼリーが販売されている。
以上が、基本的な考え方です。
同書によると、産み分けを希望する人の圧倒的多数が女の子を望んでいるとのことで、となるとあっさりセックスが必須。ゼリーを仕込んで即射精というスタイルに不満を覚える夫が多いとのことで、そりゃそうだ~と大笑いです。
産み分けにこだわって、遠回りの妊活に
さらに同書は産み分けに重要な排卵日を自分でチェックしようねというスタンスで、排卵痛や基礎体温表、おりものの粘度変化によって特定する方法を紹介しています。「生理が順調な方であれば、総合的に判断すれば80%の確率で排卵日を判断できる」とありますが、それって実際はかなりの特殊能力だと思うのですが。一般的な体外受精でも採卵のため排卵日を特定する必要が出てきますが、そちらは血液中のホルモン値などで測定されます。
ところが産み分け班は、それらの方法を「どうしても正確な排卵日を知りたい場合は~」と、最終手段かのような雰囲気で紹介。産み分けに必要と謳われるサプリやゼリーはそこそこ高価ですし、そもそも狙った日以外は絶対に避妊することが条件ですので、産み分け法は妊娠そのもののチャンスが激減するのも特徴です。良心的な医師なら、少しでも時短を目指すんじゃないのですか? これってやっぱり、ただの商売?
結局のところ、何をしても希望の性別が生まれる確率は50%、とそこそこ高確率ですし、もし希望がかなわなくても、生まれてしまえばそれなりに嬉しく忙しく、「どうしてくれるんだ!」なんて騒ぎにはまずならなそう(継承や文化の問題があるお国は一大事でしょうが)。
〈産み分けは根拠なし〉と指摘されているにもかかわらず、助産院や病院で未だ指導が行われているのは、妊娠出産の心理につけこんだ、罪深い商売なんじゃないでしょうか。
ネット上の怪しげな商品では、「このお守りで恋人ができてたからくじにもあたって人生ウハウハ!」的なノリで「病院に行かなくても女の子ができた 奇跡の女の子産み分け術」というテキスト、ゼリー、音声ファイル(何が聴こえるんだろ)のセットが15,800円で販売されておりました。「成功率99.3%」ですって。ありえない~。
一方スピリチュアル界の皆様は、この物件を〈性別を選ぶのは親のエゴであり、男か女かは子どもの魂が決めている〉と考えるよう。そして、杉山流の一見科学風な産み分け術と、スピ的な解釈をちゃっかり両方いただいちゃってるのが、胎内記憶の池川明医師! この夏、貞子と伽椰子がまさかの合体でえらい化け物になってしまったように、手におえない物件に育たないことを願います(願わなくても確実に育ちませんが)。
(謎物件ウォッチャー・山田ノジル)
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