また、本書の発売を記念して8月に行われたトークイベントでは、著者の加藤文果さんほか、クンニクマンさん(ハプバーオーナーとして以前に登場!)、飲食業から40代で出張ホストデビュー、その後、AV男優、AV監督と華麗にステップアップしていくISSEIさんが登場されました。そのときにクンニクマンさんが紹介していたのが、テクニックを過信する男性。
しかも、自信の源は「性風俗店で評価された」「俺はいつも風俗嬢を時間ぴったりにイカせることができる」という経験を背景にしたもので、それってどう考えても風俗嬢が“サービス”としてイッタふりしてるやつだよね~、と誰もがわかるのに本人は気づかない。それでも、クンニクマンさん主催の「クンニ道場」でお相手をつとめる女性から指摘され、気づくことができれば以降のセックスライフも変わりそうなものですが、彼らは気づかない。憮然として帰ってしまったり、「最近、首の調子が悪くて」と的はずれな言い訳をはじめたり、自信の非を認めたがらないそうです。
セックスを卒業する、という選択肢
このタイプの男性って、ベッド以外でも同じことをしていそうですよね。思い込みや誤解が生じるのは仕方ないにしても、誰かがそれを正そうとすると不機嫌になる。ひどい場合には逆ギレする。セックスは相手あってのことなのに、「俺の思う真実」を押しつけるのはナンセンスだと気づけない。
還暦を過ぎてセックスパーティを渡り歩く男性は、「いい年して」といわれそうですが、その年齢でもってどんな場でも受け入れられる人柄の持ち主で、遊び仲間がサプライズでお誕生日を祝ってくれたといいます。年齢を重ねれば重ねるほど、人生観とセックス観が不可分となるからこそ、こうしてセックスを通じて人間関係を広げていく人も出てくるのでしょう。
一方で、「もうセックスしなくていい」という人もいます。そのなかには、自分はしたくないのにパートナーに付き合って仕方なく……という人もいるはずです。そんな状況をスパッと断ち切ってセックスそのものから卒業する、という行動に移しやすいのもやはり熟年期なのだと思います。セックスを続けるにしろやめるにしろ、「なんとなく」ではできないからこそ、それまでの人生で培ってきたものが反映される。「私はいつまでセックスをするんだろう、できるんだろう」への答えは、「それは自分で決めること」なのだと教えてくれる1冊でした。
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