今でこそ男児×2の子育てと、仕事と、セックスレス解消の策に奔走している私ですが、若い頃は夢中で追いかけているものがありました。
「昔、野球の二軍選手のおっかけをやっていたよ」
人にこれを言うと、必ず「なんで?」と言われます。「なんで二軍?」。
高校3年の夏、私はテレビで父親が見ていた巨人戦を、ぼんやりと見つめていました。そこで、「この選手いま、捻挫した。私も今日、捻挫したぞ。これは運命かもしれない。っていうか、野球選手なのに可愛い顔をしている」と恋に落ちたのが、のちに“山本モナとの9,800円五反田ラブホ不倫”でお馴染みになるスーパールーキー・二岡智宏選手でした(当時まだ23歳)。
翌日、高校の近所にあるコンビニで、さっそく彼の活躍が掲載された日刊スポーツに手を伸ばすと、向こう側からも伸びる手が……。1年生のときに同じクラスで、ヴィジュアル系好きかつマリスミゼルを知る唯一の友として仲良くなり、hideのお別れには一緒に学校を早退し築地本願寺まで駆けつけたりしたAも、私と同じ目的で日刊スポーツを買おうとしていたのです。
同志を得た人間は、とたんに強くなるもの。以来、巨人が勝った翌日は放課後の教室でAと勝利に酔いしれ、ふたりでスポーツ新聞(報知、日刊、スポニチ、サンスポ)を手分けして買いました。ですが、生観戦のハードルは高いものでした。
インターネットはまだ一般人にはそれほど近いものではなく、情報収集といえば雑誌が中心。そこでわかったのが、私たちの他にも野球選手をアイドル視している女性が世の中に多いということでした。『ベースボールマガジン』(ベースボールマガジン社)は硬派な記事が多いものの、“野球界のMyojo”こと『プロ野球ai』(日刊スポーツ出版社)は、とんでもなかった。
口元に特徴がある現メジャーリーガー上原浩投手も、“イケメンスーパールーキー”として、同期の二岡選手と笑顔で肩を組む写真で表紙になったり、イケメン選手がカジュアルな私服姿でリラックスしていたり、仲の良い2選手が頬杖ついて芝生に横たわりBLを想起させたり、野球関係ないプライベート語りもアリ、読者投票による「恋人にしたいランキング」は鉄板企画でした(今調べてみたら、まだあるんですねこの雑誌。最新号は楽天のオコエ瑠衣、松井裕樹、則本昂大が三代目JSBのような配置でビッとキメています)。