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失敗は酸っぱい。計量スプーンの罠?「鶏モモ肉のレモンマリネ炒め」

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kazuyo0912

こんにちは。自意識和代でございます。
まず、皆さまにお詫びしたいことがあります。
過去の記事(2014年5月〜2016年3月掲載分)にて計量スプーンの小さじの容量を誤認しており、2.5ccを小さじで表すのに「小さじ1」と記載していました。正しくは「小さじ1/2」です。
申し訳ありませんでした。
(該当箇所は訂正しました)

今回は計量スプーンについて調べたことをお話ししたいと思います。

〜(回想)〜

ある日、スーパーで「大さじ・小さじ・小さじ1/2のよく使う計量スプーンセット」と書かれたセットを見つけました。

 

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これです。スプーン自体はいつも見慣れたセットなのに、中さじと書いてありません。
いつも使っていた小さじが「小さじ」じゃなかったということをはっきり知らされた瞬間でした。

そう言えば、レシピ本ではどういう扱いなんだ?
あるレシピ本には「日本ではすり切りで量って大さじは15cc、小さじ=5ccになるように標準化されています」と書いてありましたが、
別のレシピ本では「この本では大さじは15cc、小さじは5ccとします」と書いてありました。
「この本では〜とします」だなんて勝手に自分ルールを作ってんじゃないよ! と思いましたが、さらに複数のレシピ本をパラパラと覗くと「この本では小さじは5ccとします」という書き方のものが結構ありました。

どういうことだ?
それに、中さじはどこへいったんだ?

ネットで「中さじ」と検索し、計量スプーンを考案したのは女子栄養大学の創設者・香川綾さんであるという情報(Wikipedia)を見つけました。
早速『香川綾の歩んだ道』(女子栄養大学出版部)を入手し、猪突猛進な明治女のパワーをビシビシと感じながら、計量カップと計量スプーンを考案された経緯を探して読みました。
戦後、医学も科学も尺貫法からメートル法に統一されたけども、料理関係のものは統一されないままグラムと 匁:もんめ(1匁=3.75g)が混合して使われている状況だったそうで。当時の計量スプーンはというと、

「昔はスープスプーン30ccを大さじ、デザートスプーン18ccを中さじ、ティースプーン6ccを小さじとして計量に使っていました。ところが、正式に度量衡法で決めたものではないので、 実際には中さじが13ccであったりして正確とまではいきませんでした。また、計量カップはまだなく、一合とか一升ますを使用していたので、これもメートル法に切り替えて使いやすいものにしたいと私が考えたのです」(原文ママ)

ふむ。

「計量スプーンについては、昭和23年に燕市で、30cc、15cc、5ccの三種類を試作して使ってみました。しかし、普及させるには種類が少ないほうがよいので、文部省(注・現文部科学省)の職業教育担当者や農林省(注・現農林水産省)の生活改善普及課のひとたちと相談して、計量スプーン5ccと15cc、それに計量カップ200ccにしたのです。現在ではこれにミニスプーン1ccが加えられています」(原文ママ)

 

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こちらは『香川綾の歩んだ道』の元となる本
『香川綾 栄養学と私の半世紀』(株式会社日本図書センター)
写真付き。

へ〜。って……あら?
中さじ10ccもないし、今の1/2小さじ2.5ccもない。逆にミニスプーン1ccなんて聞いたことがないぞ。
この本を最後まで読みましたが「中さじ」も「10cc」も遂に登場しませんでした。
wikipediaをよく見返してみると「現在利用されている計量カップ、大さじ、小さじの規格は、いずれも女子栄養大学創立者の香川綾が1948年に考案したものである」と書いてあります。
中さじを含んだ計量器の比較表も掲載されていたので、その「いずれも」香川綾が考案したと錯覚したのですが、「現在利用されている計量カップ、大さじ、小さじの規格は」となっていて中さじとは書かれていません。
紛らわしい……。

ともかく、計量スプーンが考案された当時からずっと「小さじ=5cc」だということは分かりました。
しかし、中さじが一般家庭用計量スプーンセットから外れ、代わりに1/2小さじがセットに加わった経緯は不明のまま……。

 

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私の計量スプーンです。
左:15 SPOON、中央:5 SPOON、右:2.5 SPOONと文字が刻まれています。
左から「大さじ、中さじ、小さじ」と思っていましたが、正しくは、「大さじ、小さじ、1/2小さじ」でした。

 

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以前使用していたプラスチック製と並べてみました。
左:プラスチック製・15cc    ステンレス製・15cc
中:プラスチック製・7.5cc ステンレス製・5cc
右:プラスチック製・5cc  ステンレス製・2.5cc

大きい順に左から並べて一致していたのは大さじだけでした。
小さじだと思っていた一番右のプラスチック製は5cc。
なので、私が小さじを間違えたのはステンレス製の計量スプーンを使い始めて以降ということになります。
ステンレス製のほうがなんとなくきちんとした感じがすると思って買ったのですが……。
何とも恥ずかしいです。

しかし……いつからだ……中さじがステンレス製計量スプーンセットから消えたのは……。
そして消えた時、新しいお札やコインが発行された時のように私たち市民に広く周知されたのか?
私が小中学生くらいの頃に見たと思っていた中さじは幻か……? 昭和の幻なのか……?

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自意識和代

人の好意をなかなか信じられず、褒め言葉はとりあえず疑ってかかる。逆にけなし言葉をかけられて「なんて率直なんだ!」と心を開くことがある。社交辞令より愛あるdis。愛がなければただのdis。凹んじゃうよ! ラブリーかつ面倒なアラフォーかまってちゃんである。