声優専門のプロダクションに所属する声優ではなく、俳優・女優がアニメ作品の声を担当することには賛否あるが、『君の名は。』については、むしろ神木で良かったと肯定する意見が多数。鑑賞者からは「ほんとにいい映画で神木くんの声最高!」「前半の神木くんがとてもえっち」「神木くん演技上手すぎて」「神木さんの演技はめちゃくちゃ上手!」と絶賛の感想が回っている。ちなみに、これにより神木は宮崎駿、細田守、新海誠と、時代を代表するアニメ映画監督の作品に関わったことになる。
贔屓目でなく、同世代の役者の中で(神木は23歳)彼の活躍が飛びぬけていることは間違いない。『桐島、部活やめるってよ』『バクマン。』などの映画で主演、堤幸彦や宮藤官九郎といったクリエイターからも重用され、今年6月に公開された宮藤監督の映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』でも主演。2011年の連ドラでも神木を主演に推した宮藤だが、キャステイングについて「なんか神木くんにだけは僕はサディステックになってしまう。地獄で拷問を受けている高校生を考えた時、神木くんをいじめたら楽しいなって」と語っており、相当な入れ込み具合を感じさせる。そしてこの作品は宮藤監督史上初の映画動員ランキング一位を獲得した。
『3月のライオン』や『バクマン。』といったマンガの実写化作品は芸能人声優以上にキャストが(主に原作ファンから)叩かれがちな傾向があるが、神木は2014年の公開映画『るろうに剣心 京都大火編 / 伝説の最期編』で瀬田宗次郎役を演じた際も称賛を浴びた。原作読者であった神木はファンの期待を裏切るまいと、必死に稽古をしたというが、それが見事に実ったようだ。前述の『バクマン。』では佐藤健とW主演を務めたのだが、キャスト発表当初は「佐藤と神木の配役が逆だ!」と、ミスキャスティングを指摘する声が多かった。だが、いざ公開されると、「神木きゅんの眼鏡姿最高」「神木きゅんのオタク芝居が可愛すぎてもう…」と全面降伏のコメントが溢れたものだった。
子役から俳優への理想的な転身を果たした神木きゅん。子役からもっとも華麗に脱皮した役者なのではないだろうか。もちろんただ運が良いわけではない。努力家で勉強熱心だという評価は、共演者やスタッフらあちこちから聞こえてくる。そのうえ社交的で人当たりも良いというから、「愛され力」は高まる一方なのだろう。
(ボンゾ)
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