「今が楽しければいい」という刹那主義
次に紹介するのは、同じバイト先で8人もの男と相次いで肉体関係を持ったという強者だ。
中国地方に住むEは、居酒屋でアルバイトする女子大生。飲み会が大好きで、バイト仲間との飲み会には必ずと言っていいほど参加しているという。彼女は、お酒が入ると開放的な性格になってしまい、男へのボディタッチが増える。男は、女からボディタッチされると、「こいつ、俺に気があるのかも」と安易に思ってしまう愚かな生き物だ。ある男友達からは、「お前は、隙があってすぐにヤレそうな雰囲気がある」と言われたことがあるという。
しかし、彼女は“雰囲気”だけではなかった。実際に、バイト先の同僚や上司から個人的に飲みに誘われ、その場の雰囲気でホテルに行ってしまうことが何度もあったのだ。その中には既婚者の社員もいた。妻がバイト先に子どもを連れて飲みに来て、気まずい思いをしたこともあったという。そんなこんなで、気づいたら8人と関係を持っていた。並行的に関係を持った男もいるし、そうでない男もいる。綱渡りだが、楽しい日々を送っていた。
8人の中には、Eに対して本気になってしまったり、気まずくなってバイト先を辞めてしまったりする男もいた。しかし、Eは人間関係がもつれることを避けようとしたのか、バイト内では絶対に付き合わなかった。8人の男は、それとなく8股の事実に気づいていたが、大きなトラブルにならなかったのは、Eの立ち回り方が見事だったというほかない。
そんなEが彼氏として選んだのは、バイト先の同僚が飲み会に連れてきた友人だ。バイト内の男でなければ、これまでしてきた“悪行”がバレないと思ったのだろうか。ただし、その同僚は8人のうちの1人だというから、またもや危ない橋を渡っている。十分にトラブルの火種を抱えていると思うのだが、Eにとっては大した問題ではないのかもしれない。
Eは、筆者の取材に対して「今が楽しければいい」とあっけらかんと答えた。「今は彼氏に満足しているから浮気してないけど、また男をつまみ食いしないとも言い切れない」とも語る。この居酒屋は“時限爆弾”を抱えたまま、中国地方のどこかで今日も営業している。
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今回紹介した例からもわかるとおり、サークルクラッシャーの行動範囲は恐ろしく狭く、だからこそ複数の色恋が人間関係を崩壊させる。なぜ、彼女たちはサークルクラッシャーになってしまうのだろうか。次回は、彼女たちの実態をさらに深掘りしていきたいと思う。
(宮崎智之)