
サディスティックサーカス2016。来年は2回開催されるそう。
今年も行ってまいりました、サディスティックサーカス。一夜かぎりの見世物小屋、醒めない悪夢のような演し物の連続、ここで見たことは決して口外してはいけません……昨年はそういわれたと記憶していますが、今年はラストに「どんどん拡散してください!」と高らかに告げられましたので、晴れて当コラムで書かせていただきます。
エロもグロも猟奇もフェティッシュもナンセンスも、なんでもあり。ワタシ的最大のお目当ては全国のストリップ劇場を渡りあるく踊り子にして、空中パフォーマンスの名手・浅葱アゲハさんで、その表現に息を呑み、そして涙を誘われました。ほかにも、緊縛にバーレスクに切腹ショーに首吊りショーに、踊り子生活75年、御年75歳の人間国宝級ストリッパーに……と次から次へと展開されるエキセントリックなステージに、22時の開演から朝5時のラストまで眠気を感じる暇などございません。
海外からパフォーマーを招き、日本ではちょっとお目にかかれない類のステージを拝めるのもこの夜の醍醐味ですが、ノルウェー発の“世界一痛いサーカス団”が披露した“ボディサスペンション”には本気で血の気が引きました。女性の皮膚にフックを引っ掛け、そこにロープを通して空中に吊り上げ、ぶんぶん振り回す……当然、皮膚が限界まで伸びるわ血が流れるわ、会場のあちこちから悲鳴が上がり、しかしその痛みと悲鳴こそが当人たちの悦びとなるという異様な光景は、今後たびたび夢に出てきそうです。
不謹慎アングラ劇団に拍手!
しかし、このコラムで敢えて採り上げたいと思ったのが、劇団ゴキブリコンビナートです。「キケン・キタナイ・キツイにキモチワルイを加えた4Kミュージカル。ゲテモノ演劇界の孤高のトップ集団」という触れ込みですが、そのステージが、ま~ヒドイ。お下劣だわ、凶暴だわ、無秩序だわ、グロいわ。アングラ臭のどっぷり染みこんだタオルを鼻先に突きつけられて無理矢理その臭いをかがされるような、それでオエッとなっても解放されないような、とにかく目が離せない劇団です(褒めてます)。
今年のステージもひどかった! 私、そもそもはグロいの苦手なんですよ(だから、ボディサスペンションも直視できない)。それなのに、なんていうんでしょう、見ていると不思議に胸がすくんです。
逃げる女性を男性が捕まえ、押し倒し、腕力に物をいわせて乱暴しようとする……いまや日本全国で知らない人はいないと思われるほどの騒ぎとなった某・元芸能人による強姦致傷疑惑をトコトン揶揄した内容で、それに対して会場からは大喝采! 不謹慎でしょうか? ええ、たしかに。
でも、私にはこの事件を扱う大手メディアのほうがよほど不謹慎に見えました。事件発覚直後から被害女性の年齢や容姿を取り沙汰し、息子の性欲が強いことを知っていたかとその母親に詰め寄り、示談に終わった途端、「合意はあった」「ハニートラップだった」という証拠をなんとかかき集めて冤罪事件に仕立てあげようとする……。
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