連載

言霊で添加物を浄化? 食べずに生きる「不食」先駆者が語る、珍妙な幸福論

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 昨年6月、当連載でご紹介しました〈ホリスティックな冷えとり情報誌のメンズ版〉に登場していた〈不食男子〉こと、秋山佳胤(あきやま よしたね)氏。大気中から太陽のプラーナを食べている影響か(※不食の人たちによる、肉体を維持できる理由)、ますます精力的にご活動されているようで、今年8月には新刊が発売されていました。

 ようやく秋らしくなってきた今日このごろですが、食欲が爆発して困っちゃう~という人は、今こそ食べ物をとらずに生きる不食人の不思議なライフスタイルに触れてみるのはいかがでしょう。いろいろな意味で〈おなかいっぱい〉にはなるはずです。

 まずこの本を通じて感じた秋山氏のお人柄は、ものすごくピュアな人といったところ。どんな分野のトンデモさんとも共通する特徴でもありますが、ファンタジーの世界に生き、もう現実世界にはかえってこないんだなと思わせるタイプの、妄想王子です(佇まいに品があるので……)。

 本書で語られる秋山氏の世界では、

・肉体は大気中から摂取するエネルギーで維持することができ
・愛のバイブレーションは物質を変化させるので、傷んだ食材も心をこめて話しかけるとみずみずしく復活

・放射能や添加物は〈愛の意識で浄化できる〉
・「いただきます」と言霊で浄化しながら食べれば、添加物も悪さをしない

のだとか。

俗世を超越した存在に

市販されてる食品に含まれる添加物はもともと悪さをする類のものではありませんが、傷んだ食材は食べないで~!と思ったけど、ご自身は食べないから何とでも言えるのかも。だって〈不食〉ですものね。怪我をしたときも、意識で肉体を修復したそうです。不食を始めると脳波が変わるというお説ですから、もしや、幻視幻覚。

 また、読者のお悩みにこたえる章では、ギャランティの交渉が苦手というイラストレーターへ「考えるな、感じろ!」的なアドバイスとともに、仕事を受けるかどうかはOリングテスト(※有名な疑似科学物件です、わからない人は注意して検索を!)で内面に聞いてみよう、そのうちお金が必要なくなる時代がくるかもしれませんね! と、俗世とは一切かかわりたくないようなご高説を披露してくださっています。

 まあ、このあたりまでは、不思議系キャラの女優・釈由美子が「よく妖精を見る」と公言しているアレと近い無邪気さが漂っていて、あらまあすごいわねえ~くらいで済むのですが、またもや登場してしまったのが「トンデモ子育て論」。本当に「で~た~!」と声が出てしまいましたよ。

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山田ノジル

自然派、エコ、オーガニック、ホリスティック、○○セラピー、お話会。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のないトンデモ健康法をウォッチング中。当サイトmessyの連載「スピリチュアル百鬼夜行」を元にした書籍を、来春発行予定。

twitter:@YamadaNojiru

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