連載

サークルクラッシャー列伝 その3〜承認欲求を満たすために男を漁る女

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彼女にLINEしてくる「maiko」の正体

当連載では、現代的な「悪女」の一類型として、「サークルクラッシャー」の存在に注目してきた。同一のコミュニティ内で複数の色恋沙汰を起こし、人間関係を崩壊させる彼女たちの実態はどのようなものなのか。前回に引き続き、著者が取材したエピソードを紹介していく。

「自分の彼女がサークルクラッシャーだったかもしれない」と語るのは、都内に住む30代の男性。友人の紹介で知り合ったAと交際2年が経過し、結婚を考え出したタイミングで事件は起こった。Aの浮気が発覚したのである。パスロックがかかる前にiPhoneを放って席を立った隙に、ついついLINEを覗いてしまったのだ。相手は共通の友人だった。仕事で忙しい日々が続いて、Aを構う時間が少なくなっていたことに加え、Aの態度が不審だったこともあって怪しんでいたが、まさか自分の友人と浮気しているとは思いもしなかったという。

神は細部に宿るというので、ディティールまで明かしておくが、Aは浮気相手とのトーク内容をこまめに削除していたようで、直接的な浮気の証拠は押さえられなかった。しかも、Aは、周到にも浮気相手の名前表記を、女性のものに変えていたのである。これなら、メッセージを受信した際に名前が画面に通知されても気づかれにくい。では、なぜ不貞行為が発覚したのか。それはLINEのアプリ内を覗いてしまえば、一目瞭然だった。男性にも見慣れた友人(Aの浮気相手)のアイコンが、「maiko」という女の名前になっていたのだ。不審に思った男性がLINEの画面を示して問い詰めると、Aはあっさりと浮気の事実を認めたという。

しかし、話はそこで終わらなかった。時期を同じくして、友人女性から「あなたの彼女が、私の彼氏と浮気している」と相談されたのである。友人女性の彼氏は、Aを紹介してくれた男友達だった。この一件で、男性は結婚を考えた彼女どころか、仲良しグループまで失う結果になってしまった。初めの浮気発覚から、たったの2日。男性の頭は混乱を極めていた。

Aは男性に「別れないでほしい」とすがったという。浮気をしたのは仕事ばかりでかまってくれなかったからであり、これからも自分のことを好きでいてくれるなら二度と浮気はしない、と。しかし、返事を保留しているうちに、あっさりほかの男に乗り換えてしまった。新しい相手は、職場の上司。交際当時、Aが上司とも浮気していたかどうかまではわからない。

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宮崎智之

東京都出身、1982年3月生まれ。フリーライター。連載「『ロス婚』漂流記~なぜ結婚に夢も希望も持てないのか?」、連載「あなたを悩ます『めんどい人々』解析ファイル」(以上、ダイヤモンド・オンライン)、「東大卒の女子(28歳)が承認欲求を満たすために、ライブチャットで服を脱ぐまで」(Yahoo個人)など、男女の生態を暴く記事を得意としている。書籍の編集、構成も多数あり。

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