彼女の前で男にボディタッチを繰り返す寸止め女
「あの女は、本当に許せない」。ある20代の女性は、大学生時代に悩まされたサークルクラッシャーのBを思い出して、そう語る。なぜ、彼女はそこまでBに敵意を抱くのだろうか。
Bは、酔うととにかくボディタッチが激しくなるのが特徴の自称・小悪魔系。サークルの飲み会でも、男の膝に手を乗せたり、寄りかかったりと、あからさまに媚びを呈する行動が目立っていた。しかも、特にBが狙うのが、サークル内に恋人がいる男だ。タチが悪いことに、恋人に見せつけるように男にボディタッチを繰り返し、相手の反応を楽しんでいたという。
実際には男女の仲までにはならず、“寸止め”で終わることが常だったが、Bに対してその気になってしまい、それが原因で別れるカップルもいた。男がその気になったら満足し、次々とターゲットを変えていく機動力を持つBは、サークルクシャッシャーの鏡だといっていい。
取材した女性の彼氏も、Bのターゲットになっていた一人。酔ったふり(※ 彼女いわく)をして、彼氏の膝に頭を乗せていたこともあったという。女性は「あんなことをさせないで」と訴えたが、「酔っぱらって具合悪くなった女の子に、なんてこと言うんだ!」と、かえって反感を買う結果となった。彼氏の膝から勝ち誇ったように笑みを浮かべるBを、女性は見た。
そんなBに憤慨し、サークルの女子メンバーたちは「被害者の会」なるものを立ち上げてBへの攻勢を強めたものの、男のメンバーたちはBを擁護するばかりだった。以前、当連載で取り上げた漫画『サユリ1号』(村上かつら、小学館)でも似たような場面があったが、サークルクラッシャーには同性の批判を、「女の嫉妬」「ひがみ」に変換させる特殊能力がある。
女性が見たという「彼氏の膝から勝ち誇ったように笑みを浮かべるB」は、実在したのか、女性が作り出した被害妄想の幻影だったのか。そう疑問に思った読者がいたとしたら、すでにあなたはBの術中にハマっている。自身への批判を相手へのレッテルに変換するBの手口には、熟練すら感じるほどだ。結局、Bは卒業するまでサークルの女子たちを悩ませ続けた。