
劇団Rexy、第三回公演も好評!
映像の中の憧れの存在や世界観を、直接目にしたい――。会いに行けるアイドルグループのコンセプトや人気漫画の原作ファンの思いがかなえられる機会が、舞台です。専用の劇場も設立され大きな人気を誇っていますが、演劇好き歴20年、趣味が高じてその筋の雑誌編集者にまでなってしまった筆者から見て、特定の俳優や女優が好きという気持ちを除いて純粋に鑑賞に堪えうるものかというと、疑問があるというのが正直なところです。
舞台という表現方法は「LIVE」であるこのほかにもうひとつ、大きな特徴があります。それは、映画やドラマなどの映像作品ではできないような過激な演出が可能なこと。それが活きるのはもちろん、社会風刺とセックス描写です。8~9月まで上演されていた三浦大輔演出の「娼年」では、イケメン俳優の松坂桃李が「パンツはいている時間の方が短いよね?」という状態であらゆるセックスを演じていました。
とはいえ、安易に俳優にセクシャルな言動をさせて目先のウケだけを求めていては、演者の成長にはならず観客の目も磨かれないもの。特に人気漫画を舞台化した2.5次元モノに多いこの傾向、今後軌道修正される可能性はあるのだろうか……。そんな疑問解消へのヒントになりそうな作品が、10月13~16日、東京・DDD AOYAMA CROSS THEATERで開かれました。劇団Rexyの「燃えるなよ剣」です。
Rexyは女性向けセクシーコンテンツのSILK LABOとGIRL’S CHで活躍するエロメンやイケメンたちによる劇団で、2015年11月に旗揚げ。元お笑いコンビ「オセロ」の中島知子が総合プロデュースを手掛ける同作が三回目の公演で、作・演出はシチュエーションコメディを得意とするアガリスクエンターテイメントの冨坂友が手掛けています。
彼らの「脱ぎ」は意味があるのか?
出演は、過去公演すべてに出演している北野翔太、有馬芳彦、月野帯人に、渡部拓哉、北澤剛、浅井陽登、東惣介、小林照平、前田航平、斉藤コータ、齋藤ヤスカの11人。「SILK LABO」「エロメン」という単語だけは知っていましたがその映像作品は見たことがないため、実は全員、名前も顔も目にするのは初めて。プログラムの写真を拝見するに、確かにお顔はみなさんイケメンなような、そうでもないような。好みの問題でしょうが。
装飾なしの、文字通り裸での演技経験を積んでいるエロメンたちが出演するのだから、セクシャル過剰な演出もありえそう。ただ、それだと彼らの場合は映像と変わりなさそうだし、どんな変化球を展開されるのか。
舞台は、幕末の京都。池田屋事件の一年後、資金繰りに困っている小さな旅館「池野屋」で、遊び人の主人としっかり者の番頭がそれぞれ客として呼び込んできたのは、討幕派の志士と新選組の隊士たち。なんとか彼らが鉢合わせしないように、その場しのぎで奮闘しますが――、というあらすじ。司馬遼太郎の『燃えよ剣』がモチーフとは思えないほど終始笑えるコメディで、意外にもセックス要素は皆無。オープニングで役名と俳優名が映像で流れるのはケラリーノ・サンドロビッチが主宰する人気劇団「ナイロン100℃」などと同じ手法で、すごく真っすぐな舞台演劇です。
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