10月17日より放送を開始したHey! Say! JUMP・山田涼介主演の月9ドラマ『カインとアベル』(フジテレビ系)。同ドラマの初回は平均視聴率8.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、月9初回では史上最低となる数字を記録。早くも打ち切りが危惧され、月9枠の存続、そしてフジとジャニーズ事務所の今後の関係性まで危ぶまれる事態になっている。
『カインとアベル』は大手デベロッパー・高田総合地所株式会社社長の次男で、同社社員でもある高田優(山田)が主人公だ。兄の隆一に桐谷健太、その恋人に倉科カナ、ヒゲをたくわえた父親役に高島政伸が配されている。アメリカ映画『エデンの東』のリメイクで、旧約聖書の「カインとアベル」のエピソードを題材に取っている同作。旧約聖書『創世記』第4章に登場する兄弟(兄がカイン、弟がアベル)は、兄が嫉妬にかられ弟を殺害する。
その設定ゆえか、第一話は、カメラワークや仰々しいBGMなども含め、月9にしては妙に“昼ドラ”っぽい雰囲気が濃厚に漂っていた。むしろ火曜22時の『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)の方が、以前月9ドラマとして放送された『デート ~恋とはどんなものかしら~』(フジテレビ系)のようなポップな雰囲気を持ち、よほど月9らしさがあると評判を集めている。そちらは視聴率も上々だ。月9枠はティーンをはじめとした若者をターゲットに定めたのではなかったのか。桐谷や高嶋のほか、部長役の木下ほうか、大塚寧々や南果歩といった脇役に至るまで、重厚感漂うベテラン役者陣が揃っていることは、ドラマとしては良いはずだが、ターゲット層には響かない。主演がティーン女子人気の高い山田であるというだけでは、昼ドラ感を拭えそうもない。
そもそも、硬派でワイルド、かつ三枚目の役者である桐谷が「デキる兄」役というのも解せない。伊勢谷友介や玉木宏といった華のある俳優を配置することは難しかったのか。同じジャニーズ事務所であれば堂本光一や長瀬智也、ドラマ『せいせいするほど愛してる』(TBS系)で副社長役を演じた滝沢秀明という配役もありえそうなものだ。それとも山田の子供っぽさを際立たせないため、画面上でもっとも大きな華を山田に背負わせるため……という事情を汲んでの配役か? ジャニーズ事務所側としては、山田以外を地味なキャストで押さえた今回の配役でも視聴率を取れる勝算があったのかもしれない。
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