
スピ利用されるイルカたち。Photo by Angell Williams from Flickr
「イルカって大変だな~」と、つくづく思います。スピリチュアル界周辺において〈高次元の魂を持つ〉神秘的な生き物として、いいように使われまくっているからです。
ドルフィンのアニマルエッセンスやら、癒しのメッセージが届くカードやら、イメージの世界で楽しむにはご自由ですが、「イルカの超音波が胎児の免疫力を高める」と水中出産につき合わされたり、発達支援プログラムとして、セラピーに駆り出されたりするのはどうなんでしょう。遊び好きな個体はそれなりに楽しくつき合っているかもしれませんが、実はほとんどが「迷惑だわ~」なんて感じていたりしないんでしょうか?
被災地を応援するよという体(てい)のクラウドファンディングでも、イルカ物件が登場していました。「被災地の子ども達に自由なイルカの世界を感じて欲しい!」と資金を募る企画です。2014年の〈福島の子どもたちをキャンプへ招待〉からスタートし、今年は〈熊本の子どもたちを招待〉と変わり、企画は脈々と続いているよう。
この〈子どもたちを元気づけよう〉というテーマ自体は決して悪いものではありませんが、イルカの〈セラピー効果〉が、盛り過ぎ。2014年時の企画説明にはこうあります。
イルカ、万能すぎ。
「イルカは自然本来の生き方を教えてくれます。青く透明な海の中で、自由に泳ぎ回るイルカを肌で感じてほしいと思います。海の世界に入って、イルカを感じると、人間も自然の一部なんだ、人間は生かされているという謙虚な気持ちが、そして生きる勇気が自然と湧き上がってきます」
イソギンチャクやフナムシ相手じゃ、自然の一部だと感じられないんでしょうか。海でイルカと〈偶然〉出会える確率は低く、ふれあいには有料サービスが必須となるので、引き合いに出されるんだろうなあ。そもそもイルカって社会性を持つ生き物なので、言うほど自由じゃないんだけどなあ。いじめやリンチもあると聞きますし。
さらに下記のような〈治療効果〉があると謳うのが、〈やっちゃった〉ポイント。
・イルカと泳ぐことは古代からの力強いエネルギーとの触れ合いであり、自然と一体になるという純粋な恍惚感を味わうことができる。
・イルカと一緒に泳いだり、遊んだり、触れたりするセラピーによって、例えば、学習障害、自閉症、多動症、失読症の子ども達の学習と行動に劇的な改善が見られる事が証明されている。水中で聞こえる音が、母親の胎内での感覚を目覚めさせ、あらゆるストレスに対する耐性や、知力、活力を高めるためだと考えられている。
これですよ、これ。イルカが魔法の力を持っているかのような意味不明な文章。