「最高においしくする方法」が大好きでポジティブ、料理が楽しくて仕方ない光子は最高級の食材を入手するための金も、最高級の旨みを引き出すための手間も惜しみません。ここに人間的な葛藤とか、逡巡があれば、もう少し深みのあるキャラクター造形だったのでしょうが、残念ながら今のところ薄っぺらい(天海さんが悪いわけじゃないですよ)。
また、個性的なはずの給食室メンバーも、劇団系で揃えただけで「ハイ個性的でしょ?」って、ないわ~。普通。普通の人たちにしか見えないです。普通の日本人ってこんな感じです。テレビ局の敏腕プロデューサーを演じる友近も、他に女優はいないのか? と疑問。友近と小泉孝太郎が絡むと、コントにしか見えません。
そうです、小泉孝太郎。「宿敵・小泉孝太郎」という弱さ。華のない人とも思わないけれど、凄味はない。下町の魚屋役ならいいけど、世界的に活躍する経営コンサルタントで知能犯って、どこからどう見ても(後姿でも)無理がありすぎます。もしここに、堤真一や佐藤浩市が収まっていたら? さらに光子の元夫設定もあったりしたら? 光子と敵の因縁や、葛藤も描くことが出来たんじゃないでしょうか。そもそも天海祐希と小泉孝太郎だったら、圧倒的に前者のほうが強そうなんですよね。
来週も見たい、と興味を引っ張るストーリー展開も出来ておらず、エピソードがひとつひとつ小粒。小粒なりに丁寧に描かれていれば固定ファンはつくだろうに、どんな難題も「光子がスパッと解決!」で終わりなので見ごたえがありません。天海祐希ならどんな役をやらせてもそこそこウケるだろう、という安易な作品づくりが透けて見えて残念です。次回以降面白くなる、0.01%の可能性に賭けてみます。
(ドラマ班・下戸)
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