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『やっぱり猫が好き』がやっぱり好きな理由

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まさこさんファッションチェック

 もう一つの憧れが、3人が着ているお洋服です。ストーリー展開こそバブルっぽさを排除しているものの、『やっぱり猫が好き』では好景気だったころの日本の豊かさが、豪華でかわいらしい衣装に反映されており、それを見るのががとても楽しい。

 中でも、私はかや乃姉ちゃんの衣装に特に憧れをかき立てられます。私にとっては、まさこさんファッションチェックも『やっぱり猫が好き』視聴の重要な要素の一つです。

 かや乃姉ちゃんが着ている服は、今の服よりも身頃やお袖がゆったりしていて本当に素敵。見ていてため息が出ます。これって、要するに生地を沢山使っているということなので、私から見れば経済的ゆとりの象徴です。

 かや乃姉ちゃんが家の中で着ているのは、肩パッドの入った、まるでブレザーのようなカーディガンや、リバティプリントに深い青のストライプの入ったワンピース(ボタンはボルドー色)、共布のスカーフの付いた上質そうなセーターなど。

 そんな素敵な洋服を着て、どこに出かけるでもなく、ようかん切ってお茶淹れて妹たちとお茶しているのです。なんて素晴らしいライフスタイルでしょうか!

 未だに私がお店などで見て「あら素敵」と思うものは、『やっぱり猫が好き』由来のものが多い、と今回この稿を書くためにDVDを見返して、気づきました。ソファにかかったラグは実際真似して買ったことがありますし、ふんわりしたワンピースや深い赤のストールを見て激しくときめくのは、かや乃姉ちゃんへの憧れからだと思います。

最後に

 『やっぱり猫が好き』をリアルタイムで見ていた頃、私はまだ子供でした。未来には希望があって、世の中は良い方向にしか展開していかない、と、その頃は自然に思えていました。

 大人になったら私も素敵な服を買って、お茶菓子も買って、デザイナーズマンションで観葉植物と猫に囲まれてお茶しよう。『やっぱり猫が好き』を深夜に見るたび、そう思っていました。それが私の「目標」で、なんならそれが私の人生の「夢」だったと言ってしまってもいいかもしれません。

 なのに、なのに、ああ! 目標、達成できてないし、夢も、叶ってないよ!

 ごめん! 25年前の自分、ごめん! 今回『やっぱり猫が好き』を見返して、私は過去の自分に謝りました

 未だに、子供の頃描いた夢は叶っていないにはせよ、この番組は物質的にも、精神的にも、確実に私の生活を豊かにしてくれてます。

 ぎらぎらしたバブル時代ですら部屋に籠っていた3人は、25年後の不況の世の中でも、特に変わりなく部屋でお茶していそうです。『やっぱり猫が好き』は、どんな世の中になっても、自分らしく生活していいし、それが一番楽しいのだと、見ていて思わせてくれる番組なのです。

 『やっぱり猫が好き』を見た後、大人である私は、コンビニでようかんを買い、お茶を淹れて、一人でお茶しました、とさ。

■歯グキ露出狂/ テレビを持っていた頃も、観るのは朝の天気予報くらい、ということから推察されるように、あまりテレビとは良好な関係を築けていなかったが、地デジ化以降、それすらも放棄。テレビを所有しないまま、2年が過ぎた。2013年8月、仕事の為ようやくテレビを導入した。

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大和彩

米国の大学と美大を卒業後、日本で会社員に。しかし会社の倒産やリストラなどで次々職を失い貧困に陥いる。その状況をリアルタイムで発信したブログがきっかけとなり2013年6月より「messy」にて執筆活動を始める。著書『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』。現在はうつ、子宮内膜症、腫瘍、腰痛など闘病中。好きな食べ物は、熱いお茶。

『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』