
『Chef~三ツ星の給食~』公式HPより
不思議なこともあるものです。天海祐希主演のドラマ『Chef~三ツ星の給食』(フジテレビ系)、第四話で視聴率4.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と打ち切り圏内に突入したものの、第五回で8.0%に急回復、そして17日放送の第六話は7.3%と安定維持しています。それでも一桁台(今期フジの連ドラはすべて一桁台なのです)ではありますが、月9枠『カインとアベル』も6.9%に落ちたところから7.6%まで微上昇していますし、フジが少し粘りはじめた印象。何か裏があるんでしょうか……いやいや、ないない、裏なんてない。ついうっかり陰謀論ふりかざしたくなっちゃうのはネット時代の悪い癖です。少なくとも、各ドラマのヒロインが交代で出演する企画を実施(『Chef』には瀧本美織がゲスト出演)したからって理由じゃないでしょうけどね。
さて、前回から急展開で面白くなってきた『Chef~三ツ星の給食』、第六話は前半戦の山場でした。ある日の給食メニューでオニオングラタンスープを出すことになり、得意料理だという星野光子(天海)は俄然はりきります。給食でオニオングラタンスープって……あんな手間のかかる、しかもサイドメニュー扱いな一品を出すものでしょうか? まあここの学校の給食はかなり手の込んだものを毎回用意するので、この疑問は水に流して。オニグラスープに並々ならぬ思い入れがあるらしい給食調理バイトの高山晴子(川口春奈)は、栄養士の荒木さんにこう話します。
「父は料理する人じゃなかったんですけど、オニオングラタンスープだけは作ってくれた。すっごい手間隙かかるレシピなんです。まず、特製のブイヨンからコンソメスープをつくる(なんと肉から!)……(中略)絶対にあの人(=光子)のつくるオニオングラタンスープなんかより美味しいです」
そして迎えたオニグラメニューの日、光子は夜も明けないうちに給食室で仕込みをはじめ、朝9時の時点で6時間煮込んだ特製ブイヨンが完成。全人格労働者ここに極まれり~。思い出のスープとまったく同じレシピで最高のスープを作っていく光子に、あからさまな戸惑いを見せる高山と、前日に高山父のレシピを聞かされていた荒木。最高に美味しいスープが完成したのですが、高山は「人のレシピ盗んで作ったくせに!」と光子にブチギレます。
前回ラストで、給食室調理員のタカヤマハルコ(川口春奈)の本名が、「サクライヒカリ」であることが明かされ、なぜ偽名を使っていたのか? 彼女ってば実は星野光子(天海)の産んだ娘なんじゃないの? と視聴者は勘付いていたでしょう。ハイ正解です、光子は見習いシェフだった20代の頃に結婚していた時期があり、子供を産んだものの離婚、渡仏して修行を積みフレンチ業界のトップに君臨するまで腕を磨いた女性でした。その子供というのがヒカリ。離婚によって元夫とその実家で育てられ、光子とは絶縁状態にあったんですね。
3歳で離婚してから一度も会ったことのない母が超有名フレンチシェフでテレビにも出ている光子だと父に聞かされたヒカリは、光子が食中毒偽装事件でフレンチ業界を追われ学校給食の調理員になったことを知り、素性を偽って給食室に潜入したのでした。「子供を捨ててまで選んだ大切な料理の仕事に捨てられて、傷ついた光子の姿」を見るために。どうやら彼女が抱えていたのは、自分を捨てた母親に対する恨みと憎しみ。というか、淋しさや恋慕の情がそこに伺えないのは、川口春奈が常にブチギレ演技ばっかりしているせいかもしれないのですが。淋しさを表現すべき場面でもブスッと仏頂面なんですよね、彼女。彼女の出演ドラマをちゃんと見るのは初めてなのですが、噂の“棒演技”ってこういうことかと納得しました。