熱血刑事ドラマ「漢!刑事泣き虫」に憧れ念願の刑事になったものの、「警視庁警備部特殊芸能課」に配属され、芸能界の悪事を暴くためにアイドルグループ「デカダンス」を組むことになった辰屋すみれ(中村蒼)が主人公の『潜入捜査アイドル・刑事ダンス』(テレビ東京系)。やることなすこと空回りのデカダンスがなんやかんやと事件を解決していくコメディタッチのドラマで、芸能界のあるあるネタを満遍なく散りばめているのが魅力の一つだ。
黒幕とされてきた大手芸能事務所ライトニングボルト会長の神堂栄一(升毅)があっさり逮捕された前回。12月3日放送の第9話からは新展開か……? と思われたが、なにぶん一話完結型のドラマのためストレートに物語が進むわけではない。とはいえ今回も終盤で全貌が垣間見える構成になっていた。
「都知事選PRキャンペーン」のテーマソングの座をかけて国民的アイドルグループ・ファルコンと直接対決し、見事勝利を収めたデカダンス。しかしMステ的な音楽番組出演時に、踊れない、歌えないというグダグダのパフォーマンスをしたことで、みるみる人気が失墜していく。もともとイロモノとして獲得してきた人気でしかなく、熱心なファンもついていないデカダンスは、CDのセールが伸び悩み、決まっていたテレビ出演もほぼオールキャンセルに。
ファーストライブで名誉挽回だ! と息巻くデカダンス。しかしライブ内容もめちゃくちゃだった。「ラクロスで全国制覇を目指してしのぎを削るライバル武将たち」というクソ漫画(打ち切り)の舞台化と抱き合わせの2.5次元ミュージカルという謎設定に「イケメン集めて、半裸にさせて、女がウハウハ金を落とすって3次元でもそうとう生々しい出来事だ」と憤るメンバー。おまけに超ドSの女性演出家(酒井若菜)に「そもそもそこらの小娘が、たいした実績もあげていない半一般人が、どうして上から演技がどうこういえるのか!」とキレだす始末で、「女の演出家は男の演出家よりもオープンに出演者に色目を使ってくる」というミソジニー発言まで。しかもそれを元詐欺師で女ったらしの黒澤裕也(大東駿介)が言うのだから印象がめちゃくちゃ悪い。