カルチャー

セックスはエロい人だけのものじゃない、普通にみんながすることだ。セックスポジティブな女性アクティビストとAV関係者の語らい/「SEX and the LIVE!!」レポート

【この記事のキーワード】

ト沢 「SEX and the LIVE!!」メンバーの自己紹介を聞いて、なんでAVの関係の方を呼んでいるのかって疑問に思われるかたも多いと思うんですけども、二村さんや神田さんは、女性の性の主体性というのを打ち出して活動されているんですよね。二村さんは書籍『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか」が大ヒットしてまして、女性の傷つきに寄り添う本を多数書かれてらっしゃいます。

神田さんも女性発信のAVのバリエーションをもっと増やしていけないか、っていうお話をされていまして。私はAV出演強要問題で神田さんをはじめてお見掛けしたんですけども、女性の性に対して、女性発信のものがそもそも少ないから、女性が性の客体になってしまうというか、そういうようなことをおっしゃっていましたよね?

神田 9月でしたよね。AV出演強要問題が表面化して。私なんかは、やりたくてAVの制作をやってるんですけど、「この女たちは全員、性奴隷なんだ!」って見方をする人もいらっしゃる。自分で自分の行為を撮って、売ってたりとかしてた私が性奴隷だとすると、相当迷惑な性奴隷なわけですが。私はそれを素敵だと思って売ってたんですよ、どれだけ売れたかは別として。何も私のようにみなさんがやる必要はないんですけど、たとえばドラマを見てる時に、ラブシーンがあったら、その先もあるはずじゃないですか。その先は、男性が見るために作られたものはあるけど、女性の見るものはないわけですね。それはやっぱりおかしいんじゃないかなぁって思ったんです。浮世絵であるとか、そういうものは男性女性も見て、均等に楽しめるように書かれてるんですけども、AVに関してそうではないのかなぁっていうのを最近は思ってます。

それが今回のような(AV出演強要問題)事件の原因の全てとは言わないんですけど、今年は高偏差値の大学に通う男子学生が、女の子を物みたいに扱ったという性暴力事件もいくつも表に出ていて、これは彼らだけを責めても解決しない、社会全体がそうなってるのかなって思ったんです。

二村 いきなり話の核心にいってしまうんですけど、湯山玲子さんと対談した『日本人はもうセックスしなくなるのかもしれない』(幻冬舎)っていう本の中で、僕も含めたある種の男って結局「女性を侮辱すること」がオチンチンを勃てるための興奮の起動スイッチになってるんじゃないか、というテーマについて議論しています。これは男の生理というより、社会の固定概念です。そもそも人間のセックスって動物に比べたら相当不自然なもの。子供を産まないのにセックスがしたいっていう時点で「文化」じゃないですか。言葉を選ばなければいけませんが、少し前の日本社会は、その「侮辱」を女性も受け入れていて、侮辱されることでうまくやっていた時代。そういう文化だった。じゃあ今、これからは、どうしていけば良いのか。といったことを語ってる本なのですが、AVの問題とか、なぜ女性には性の主体性がないのかとか……。

ト沢 女性に主体性がなくて客体であることで、うまく社会が成り立っていた時代があった。でも今はちょうど狭間の時期ですよね、女性も働いているし、世界を見ても時代はどんどん変わってきている。

神田 多分これからもっと変わってくると思うのね。本当女性が働かないと国がやっていけないって状況に直面してて、それは男性の問題でもあるわけで。今までのように女性が客体になってる形でやっていけるの? ってところまで来てることに、意外と、私ぐらいの年代が気付いてないんですよ。

たかだ 地方は特に気付いてませんよ。私は島根県出身なんですけど、女は働くなとか、言われるんですよ。音大を卒業したら島根に帰ってきて、ピアノのお教室でもちょっとやるくらいでいいじゃない、って。私の母も働いてないんですよね。だから、「まなみちゃん、まだ働いてるの?」って言われるんですよ。東京は進んできてる感はあるんですけど。地方はまだまだ保守的だと思う。

ト沢 私、性被害の当事者としてよくお話してるんですけども、ただ「私は被害者です」って言ってるだけだと何も変わらないなと思ってるんですよ。「私は被害者。だから男が変われ」って言ってるだけだと、自分が客体のままだと思うんですね。もちろん酷い目に合ったり、苦しんでてつらいっていうのはわかるんですけど、ただ女性自身も変わりながら、社会全体が変わっていかなきゃいけないって思っていまして。神田さんは、被害者であったことを強要されるっておっしゃってましたよね。

神田 そうなんですよ、私もう、それが大嫌いで。起こったことは起こったことなので、何でも私も話したいんだけども、そういうお話をする場に呼ばれると言われるわけです、「今日求められてるのは、こんなひどい目に合いましたって話だから、それ以外のことを話しても誰も面白くないよ」って。それ私、自分の彼氏から言われたんですよ? もう失恋したから言っちゃいますけど。もう、あの野郎と思って。だけど、そこで男性がいい気分になるらしいの。彼曰く、「俺が守ってやらなきゃいけないんだ」って。

二村 かわいそうな女性に勃起するんですね。

神田 でもさ、それって妄想の中でやってる分には楽しいんだけど、現実の生活が絡まってくると、私はあんまり楽しくないのね。

ト沢 私もよく言われますよ。当事者としてテレビに出たことがあるんですけど、「笑顔を取り戻して!」とかメッセージが来たり、「僕が君を助けてあげるから」とか。あなたの方が友達いないんじゃないかなぁ、って人からたくさんきましたね。性に主体的になるといっても、今はまだ女性がセックスの話を普通にできる状況じゃないと思ってるんですよね。女性が性の話をしたら、「はしたない」と謗られたり。

二村 ト沢さんが一貫しておっしゃってることですよね。男性社会に向けての女性の性についての発言って、性暴力の被害者としてか、性に奔放すぎる人としてか、どっちにせよ男性側にとっての娯楽として消費されてしまう。被害者に同情してあげたい気持ちか、「こんなヤリマンがいたぜ、けしからん、ニヤニヤ」っていうおもしろ話か、どっちかしか聞き入れてもらえないという現状があると思います。

1 2 3 4 5 6