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セックスはエロい人だけのものじゃない、普通にみんながすることだ。セックスポジティブな女性アクティビストとAV関係者の語らい/「SEX and the LIVE!!」レポート

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聞き入る来場者の方々

SEX and the LIVE!!

ト沢 「SEX and the LIVE!!」では染矢さんがお母さんですよね。お子さんは女の子ですよね?

染矢 女の子です。私の両親は共働きで、母はめっちゃバリキャリの女性で、放任もいいところでした。小学生のときに1回だけ参観日来てくれたことがあって、それを未だに覚えてる、みたいな。でも、母親からしたら、「仕事が忙しい中一生懸命育てたんだから!」みたいな感じだったんですよね。そんな自分が母親になって、どうかなぁと思ったんですけど、私の場合は子育てに癒されていて、お母さんにこうされたかったなっていう事を自分の子供にやったりとかしています。自分はお母さんにとって愛される存在とか……誇らしい存在でありたいと思ってたんですけど、子供って居てくれるだけでいいし、何もできないけど愛おしいっていう感情を覚えて、母親ももしかしたら、こんな気持ちでいてくれたのかもなと思うと癒されたり。ただ、なんか、自分が子育てにハマりすぎて依存しちゃわないかが心配です。だから色々な人に関わってもらいたいなって思ってます。

二村 密室って、よくないんだよね。恋愛も。

ト沢 たかださんは恋愛でDV被害の経験がありますよね。

たかだ まぁ、DVは“あるある”じゃないですか。結構あると思うんですけど。元カレがすごい嘘つきだったんですね。ある日、衝撃の告白をしたんです、「自分は実はFBIのエージェントなんだ」って。「今から君にはアメリカ大使館に来てもらわないといけない、今秘密の作戦中だから。だからこの薬を飲んで眠ってもらうから。秘密事項だから大使館には運ぶんだけど、眠ってもらわなきゃ」みたいな。意味わかります? 私は当然拒否するんですけど、朝起きたら「ここどこ?」。飲み物か何かに睡眠薬を混ぜられたりとか、本当におかしなこといっぱい起こるんですよ。しかも元カレはちゃんと工作してるんですよ、帰宅したら床にすごい血のりがあって、「実は今日銃撃戦で~」って、笑うでしょ? 私もそれ信じてないんだけども、彼ってすごく嘘つきだから、2人の空間でずーっと色んな嘘をつき続けられると、もう抵抗する気力もなくなっちゃうんですよね。DVもそうだし、嘘もそうだし、色んな暴力がありますけど。

ト沢 イジメだったり、ブラック企業も同じ構造なんですよね。空間が閉じてしまって、そこ以外選択肢がなくて、ってなってしまうと、段々そこの空間の常識だけが歪んでしまう。

たかだ でもやっぱり尽くしたいんですよ。その人に頼まれちゃうんですよ、「お金貸して」とか「今困ってるんだ」って……。私はいいとこのお嬢さんで、きちんとした優しい慈悲深い女性だ! って女子力をかまして、「大丈夫だよ」ってしてあげちゃう。

二村 「この人を支えなきゃいけない」ってこと?

たかだ そんな深くは考えない。私を必要としてくれるんだから、それだけでいいじゃない! って。普通の人じゃ助けられない、私だから助けられるんだ!って。

セックスはエロい人だけのものじゃない 

染矢 私はシンデレラ願望が強い。仕事もそうだけど、この人と結婚したら幸せになれるだろうとか、こういう就職したら幸せになれるだろうとか、ポジティブに妄想しちゃうタイプなんですよね。でも実際に、結婚して出産して、自分を見つめなおすことになりました。自分の人生だから何が起きるかわからないじゃないですか。自分でさえ誰に恋するかもわからないのに、相手が誰に恋するかなんてわかったもんじゃないと思っちゃって。中絶した時もそうだったんですけど、相手の都合で自分の人生を振り回されるのはまっぴらごめんだなって思ったんですよね。

ト沢 これこそ女性の性の主体性かなと思うんですよ。染矢さん、性欲は自己管理しようと言ってますけど、印象に残ってたのが、ストレッチするようにマスターベーションをしようって記事を書いていたこと。

染矢 そう、寝る前に、寝つきが悪いなぁって思ったらサクってヌイて寝る。

神田 しないよりした方が、インナーマッスルも鍛えれられて、健康にもいいので、50になっても60になってもやった方がいいらしいですよ。

染矢 妊婦検診で子宮口に近いところに胎盤が出来てるからセックスはおやめくださいって主治医に言われたので、マスターベーションは大丈夫ですか? って聞きました。それだったら大丈夫ですって言われた。

ト沢 自分の人生だったり性欲も含めて、ちゃんとコントロールしようとか、知識をちゃんとつけて、はっきり聞くことは聞いて、決めていこうっていうのは、女性の性の主体性に繋がるんじゃないかな。

たかだ 普通、女子は言えないよね、お医者さんに「オナニーしていいすか?」って。

染矢 セックスはエロい人だけのものじゃないからね。普通の人も。本当は性とかエロって誰もが持っているもので、性の話をするっていうのは、特別な人に話さなきゃいけないんだなってイメージがあるかもしれないけど、誰もが、セックスをするもしないも性の当事者なんですよ。

ト沢 そのとおりですよね。ちょっとここで、神田さんに、「SEX and the LIVE!!」メンバーの印象をお伺いしてみたいのですが。

神田 たかだまなみさんに初めてお会いしたとき、「普通の子がいるよ」って思ったんです、普通の乙女な子。でもお話してみたらシンパシーを感じた。「私は親子代々、クズ男が大好きなんだよね」って言ったら、たかださんは「私はクズ男しか選べないんだ」と。「そういう風に認めちゃってるんだ、だから株式会社を作って、みんなに男を見極めてもらって、合格した男だけ社員として採用する」って聞いた時に、この人の頭の中SFになっちゃってると思ってすごい楽しかったのね。そう考えるってことが、自分を受け入れるってことだなぁって思ったんです。私なんか自分を受け入れられなかったから、「クズ男なんか好きじゃない!」と思っいながらどんどんクズ男にハマっていったわけで。

二村 好きじゃないって思うとハマっていく。ダメだダメだと思うとハマっていきますよね。

神田 男性もそうですか?

二村 男性っていうか、中毒症状って大体そうですよね。

神田 それも依存症なのかな。まなみちゃんは新しい目を開かせてくれたので、私は自分の娘にマナミちゃんのページを見せたいの。でも見せると、「母親が価値観を押し付けて私の人生を弄り回してる」って言われるから、さりげなくPCでページを開いて置いておいたりしてるんだけど。

きのコさんにもすっごいビックリさせられた。彼女は、「私はポリアモリーです!」って言ったんですよね。ポリアモリーっていうのは私の書いた本『ゲスママ』の編集者がしょっちゅうその言葉を言うんで、イラっときてたの(笑)。横文字で言うとカッコつけてるみたいで……でもその言葉しかないからしょうがない。SMっていう言葉しかないからしょうがないのと一緒なんですよね。

きのコ あとは不倫とか浮気とか二股になっちゃうから、倫理的ネガティブな要素がついてるから、しょうがなくというか。倫理的ネガティブな言葉がないか探したけど、ポリアモリーが合ってるかなって感じはありますよね。

ト沢 きのコさんは、セックスが好きなこととポリアモリーって別の問題なんですけど、混同されてしまうってこともあったりして、悩んでたりもするよね。

きのコ それもすごくありますね。複数のパートナーがいて、オープンな関係を築いていますっていう話をすると、何か勘違いしたおっさんが寄って来て、やらせてくださいみたいな。お引き取りください。

たかだ 偽ポリアモリーっていっぱいいるよね。

きのコ ポリアモリーがどうだっていうのは、自分が決めて自称するというか、そこに任せたいなと思うので、お前は偽物だとかは絶対に言いたくはないんだけど、でも、その一方で「はいはい、俺それでーす」みたいな軽薄な感じで言っちゃう人もいるんで、どうしたらいいんだろう、ってわからなくて。言葉の使い方の難しさだなって。

神田 私はきのコさんの話を聞いてて、すごくスカッとしたのね、あの時。彼女の言葉で、「自分は複数の人間を愛してしまうことに気が付いて、結構子供のころから苦しんでました」、って言ってた。

きのコ そうですね、18の時にポリアモリーって言葉を知って、あぁ~うちはこれやなぁって思ったんですけど、こんな風に開き直ったら人間終わりだと。これは恥ずかしい・いけないことなんだから、隠して治さなきゃ、バレないうちにって思って。結婚までしてみたけど、結局変えられなかった自分がいて、だからその10年間は自己否定の10年間ではありましたよね。

二村 治そうとして、どんどん酷くなっていったんでしょ?

きのコ そうなの! 治そう、隠そう、と思うと、コントロールできない。

二村 治そうと思ったのは、自分の体の感覚ではなくて、外部からきた価値観に沿ってでしょ? 親とか社会とかの価値観。それがあったから苦しかったんですよね?

きのコ 「ねばならない」っていう規範を外から引き込んでしまって、それと中にある自分がぶつかり合って苦しかったなっていうのはすごくある。

二村 「ねばならない」を内面化しないと生きていけなかったのかな。

きのコ 最初はそうだったんだと思います。

二村 それはなぜですかね。

きのコ 家庭環境だったり、母親の話になるのかなと思うんですけど。うちは結構過干渉な母親なんですけど、そんなもんだと思って育ったんです。でも結婚してみた時に、うちの母親って過保護で過干渉じゃない? って気が付いて。こーしなさい、あーしなさいがすごく多いスパルタで、手もあげるような母親で。勉強は、小学1年くらいからずーっと塾とか色んな習い事に行って育って、いい大学に入っていい会社に入って……やっぱり母はそれをすごく喜んだっていうのもあったので。これをしなさいとか、これをしてはいけませんとか、たくさん母から入ってきたものがあったなっていうのが、この年になってやっとだんだんホロホロ解けてきたようなものはあります。

二村 それって「子供の頃は親に食わしてもらわないと生きられない」みたいな具体的な現実としての「生きていけない」じゃなくて、呪いみたいなもんだよね。

きのコ そう、だって相対化しようがないじゃないですか。基本的には1人だから、自分の母親って。お母さんてこういうもの、って思ってた。「アンタが社会的に許せないようなことをしでかしたら、アンタを殺して私も死ぬ」っていうことを、ずっと言われて育ったんですけど。

神田 母親が社会の代表者みたいな感じで君臨してきたのね、うちもそうだった。なんか私ね、今思うと学校でイジメられてたんだけど、鈍感で気付かなかったもののストレスは蓄積されてたみたいで、あるとき夜中にひきつけ起こして倒れちゃったの。その時に母が「どうしよう、これが精神病だったら」って言ったのを聞いた。「お前は社会から否定される、私も否定される、どうしよう」って母親が悩んじゃったことに、すごい傷ついちゃった。母親ってなんであんな社会の代表者みたいな顔するんでしょうね。

二村 子供にとっての親って、お父さんとお母さんがそれぞれ5人ずつくらいいるのが丁度いいかもしれないですよね。

きのコ 密室の恋愛が危険だっていうのと繋がると思っていて、密室の家族も危険ですよ。お父さんとお母さんも1人の人間で個人に決まってるのに、絶対的な父親とか、絶対的な母親みたいに君臨してしまう。君臨してるってことすら気付かないくらいに刷り込まれてしまってる……そのこと自体、なかなか気づけないんだなって思うし、それがどれだけ自分の心に穴をあけてるかって話ですよね。

二村 きのコさんちは核家族ではなかったの? 近くに親戚はいた?

きのコ 親戚は少ないけど、おばあちゃんが毎週のように通ってきて、家のことをしてくれたりとか。両親が歯科医師なんですけど、仕事が忙しくて、病院にこもりっきりの両親で。両親が院長と副院長っていう形で仕事してるから、両親も密室の中で2人きりで仕事している。それももしかしたら、そこに不健康さがあったのかもしれないけども。おばあちゃんがいたけど……やっぱり少ない人数で育てられたっていう気はしています。

自意識が強すぎてメンタルを病む?

二村 なんで「たくさんの大人で、子供を育てる」って社会にならないんですかね? これから先、何十年か何世代かかけて、そうなっていくんですかね? 本音を言えば、すべての女性が子供を産みたいわけじゃないですよね。だけど、産まなくても「母」の一員になれるって考えたらさ、男女10人くらいの大人たちで構成された「ゆるい家族」でさ、それがポリアモリーであればみんながセックスしててもいいんだけど、そうじゃなくても5組のペアとか、当人たちだけだと子作りがむずかしいビアンやゲイのカップルも含めて、セックスは家庭の外でしたくて恋のパートナーとは同居したくないけど友愛に基づく家族は欲しいって人とか、そもそも恋愛が苦手って人とかも混ざった、10人くらいの共同体でさ、3人か4人くらいの子供を育てる方がよくないですか? 産みたい女性は産みたいだけ産めばいいし、産まなかった人も母になれるし、自分のタネじゃなくても父になれるし、そのほうが親たち一人一人の負担も減るし、女性が父になることも男性が母的な役割をすることも可能だし。女性たちだけの家族で、産む担当の人はタネだけ家の外からもってきてもいい。

たかだ 思います、それ。私、今シェアハウスに住んでるので、シェアハウスで子育て出来たらいいなとも思いますし。

以前、フィリピンのミンダナオ島にある戦争孤児の「ミンダナオ子供図書館」を訪問したことがあるんですが、運営している日本人の男性に、「私は中期中絶してて子供の顔を見られる状態じゃないから、退席します」と伝えたんですが、「実は自分も子供を亡くした経験があって、そこから世界を放浪してた時に、放っておけないフィリピンの子供たちと仲良くなって、今は孤児院までやっちゃってるけど、そこで子供たちにすごい癒されたんだ」っていう話をされたんですね。意味がわからないです、子供を失くして、なんで子供に癒されるんですか? 私も子供を失くしてるけど、子供たちも親を目の前で殺されたりしてるわけだから、同じ傷を抱えてる者同士、何か分かり合えるものがあるっていうこと? と、その時はポジティブというよりはネガティブな感情で、傷を舐め合えるんじゃないか、みたいに捉えてしまってました。

でも行ってみたらすごく良かった。今の二村さんのお話は「子供1人につき、いっぱい親がいたほうがいいんじゃないか」っていうことなんですが、そこでは逆で、確か80人の子供たちに対して、ハウスペアレントっていうんですけど、本当のお父さんお母さんじゃないスタッフが10人。たった10人なんですね。ただ、子供たちのメンタルの健康っていうのがすごい保たれているという印象を受けました。私、日本の児童養護施設にもボランティアで行ったことがあるんですが、そこの子供たちの印象と、ミンダナオ島の戦争孤児たちの印象がまるで違っていました。

二村 何が違うんですかね。自然があるってこと?

たかだ それもありますし、太陽とかもあるかもしれないんですが、没個性なんですよ。例えばカメラを向けます。そしたらみんな撮って撮って~ってやってくるんですよね。ただ、じゃ、あなた1人写すって言ったら、キャー恥ずかしいってどっか言っちゃうんですよね。つまり、みんなと一緒っていう共同体の意識がすごい強いんですよ、みんなと一緒ならできるし、写れる。自意識がすごい薄いんですよね。クラスにばーっと子供たちがいても、顔が違うのはわかるんだけども、日本でいうと、いじめっ子がいたり、個性的な子がいたり、おとなしい子がいたりするんですけど、そういう個性がミンダナオではないんですよ。それと、自意識じゃないですけど、健康的なメンタルを手に入れることって何か関係あるんじゃないかなって。

二村 まったく同感です。みんなさ、自分というものに関心がありすぎるよね。病む人も病ませる人も、他人を傷つける人も、傷つけられる人も。ほんとはみんな、そんなに個性なんてあるわけじゃないのに。「自分が嫌い」って言う人ほど、自分に強いこだわりがある。

たかだ さっき、つばきさんがおっしゃってた、自分はイジメられてて、ひきつけ起こしてるのに、お母さんは心配する前に社会の顔を意識しちゃうじゃないですか。自意識ですよね。

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