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牛乳有害説を信じる人たちは陰謀論を信じ、世界的な食糧問題は気にかけない

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Jミルク:そう思われてしまう企業側にも確かに問題はあり、発信する情報が意図的だったり一方的だったりするケースも考えられます。それに対する不信から、企業=悪いことをするという見方は確かに存在しますね。企業側も栄養に関しては食事全体でとらえるべきであり、単品の機能性を強調して差別化を図るというやり方は問題です。そういった点に対する不信感もあるでしょうし、複数の問題がからんでいるのでしょう。

ーー小麦を売りたいがために、パンと牛乳をセットにして普及させるのは、アメリカの陰謀だ!なんてお説も。

Jミルク:個人の方のサイトでもそういった主張はよく見かけますが、その多くは〈ホタル商法〉的なもので、そっちの水は苦いぞと相対的に貶めることで特定のサービスや商品の購買に誘導するという、典型的な手口です。牛乳業界も商売ですから当然、牛乳が売れる情報を中心に出すことはしていますが、酪農は新規参入には広く門戸が開かれ、そういう若手が嘱望されているけれども〈3K〉のひとつとして嫌がられる職業のイメージもあり、新規の参入もなかなか望めないので、正直、利権って言われるほど……ですね(笑)。

ーー市場シェアの圧倒的に多い商品を宣伝すると、いつの間にか「陰謀!」となる流れは、人の利益がひたすら面白くない人たちの特徴という印象もあります(笑)。

これからの重要なタンパク源

Jミルク:いずれにもして、ネガティブな情報を恣意的に取り上げているだけでしょう。自分の主張にあうものだけをつまみ食い的に紹介するので、こちらとしては「そういう研究もあるけれどこういう研究もありますよ」という言い方をするしかありません。

今、栄養学の世界では、世界中の複数の研究を集めて総合的に評価する〈システマティックレビュー〉が主流になりつつありますので、これからはもっと正確な情報が届きやすくなっていくのではないでしょうか。これを利用すればデータの偏りが減り、臨床試験より信頼度が高くなるといわれています。ただ、近代栄養学や西洋医学はいやだと言われてしまうと、それはそれぞれの生き方ですので、反対はしませんけど(笑)。

ーー今まではカルシウムが効率よくとれる食品であるという視点から、特に子どもの成長期に必要な栄養として注目されていましたが、今後はどのような流れになるのでしょうか?

Jミルク:最近は乳のたんぱくやミルクで減塩とか、着目されていなかった価値に対しての関心が高まっています。例えば、牛乳は血流を促したり筋肉を作るのに必要な種類のアミノ酸をたくさん含みますので、熱中症の予防になります。スポーツ栄養学では、運動後30分後以内に牛乳を飲むと飲まないとでは、筋力を蓄える効果が違ってくるといわれています。筋肉疲労の回復や筋肉量を増やすのは、たんぱくですから。筋力をつけることはアンチエイジングや、ロコモ(筋肉や骨など運動に関わる機能の障害により、要介護のリスクが高まること)予防にも大切ですので、高齢化社会においても、牛乳が再評価されていくでしょう。

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山田ノジル

自然派、エコ、オーガニック、ホリスティック、○○セラピー、お話会。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のないトンデモ健康法をウォッチング中。当サイトmessyの連載「スピリチュアル百鬼夜行」を元にした書籍を、来春発行予定。

twitter:@YamadaNojiru

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