今年、自らの人生を綴った書籍『ゲスママ』(コアマガジン)を出版した神田つばきさん、57歳。24歳で結婚し専業主婦として二人の娘を育てるも、38歳で子宮頸癌が発覚し子宮を摘出、夫に離婚を切り出した。当時12歳と8歳だった娘二人を連れて家を出ると、会社勤めをしながら性愛の探求に乗り出し、テレクラや出会い系にとどまらず、自ら企画してのAV出演も実行。驚くべき行動力で冒険を続けてきた彼女の、“ゲス”な“ママ”である部分が同書では記されるはずだったが、結果的に育児に関する記述はほとんど出来なかった。なぜなら、まず彼女のバックグラウンドにある“女の性の探求”について書ききる必要があったからだ。
前編では子供たちの反抗、キレる母親だった自分、元夫との関係、実母と自分の愛憎などについて伺ってきた。後編は、「今も互いに向き合えているとは言い難い」という長女の話から始めたい。
▼前編
恋愛もAV出演もしながら2人の娘を育てた母親として。「子供に迷惑かけたけど、女としてやり直さないわけにはいかなかった」
身勝手で一人よがりな子育てだった
――上のお嬢さんは中学入学後からあまり自宅に寄り付かなくなったとおっしゃっていました。現在も、つばきさんと下のお嬢さんは同居しているけれど、上のお嬢さんはそこにはいないと。どのような関係性なんですか。
神田 もちろん学生時代は、出て行きっぱなしってことはないんだけれど、顔を合わせて大事な話し合いをしていても途中でもう出て行っちゃうので、最後まできちんとやり合えたことがないんですね。当時の葛藤や問題が棚上げになっちゃってるんですよね、お互いに。次女は私とそれをイヤになるほどやったので、今は平和に同居できているんですけど。長女とは、まだこれからやらないとダメですねぇ。これからの課題ですね。そのへんが複雑だったので、本から省いちゃいました、すみません。子育て本の予定だったのにね。
――まだ離婚される前、つばきさんは専業主婦のお母さんだったわけじゃないですか。たとえば学校の宿題とか見てあげるみたいな、そういう親子間のコミュニケーションって。
神田 してましたけど……そもそもが、私、すっごい押し付けがましい母親だったと思うんです。特に一人目の子供に対しては、そうでした。算数の繰り上がりを教えるためにわざわざキャラクターの絵を描いて説明したり。○○ちゃん(長女)が海賊に弟子入りして、宝石を集めるんだってストーリーまで作って、小さい石を10個集めると大きい石1個に変えてくれるんだよとか。最終的に繰り上がりを説明する絵本まで作ってて、今思えばあんなの迷惑だったと思うんですけどね。自分と夫だけが満足して、「素晴らしい子育て!ルルルル~♪」みたいになってて、子供は鼻くそほじくってるみたな、そういう感じでしたね。
ところが次女に対しては、彼女が8歳のときに離婚しちゃったので、もう自分がまず仕事しなきゃで手いっぱい。勉強を何も教えないどころか、たまに「宿題教えてあげる」って身を乗り出してきてはすぐキレてしまってた、私が。だからいずれにしても、自分は母親としてあんまり子供のことを見てなかったんですよね……。子供の身になって考えるとか出来ない、自分の身にばっかりになっちゃう、欠陥人間っていうところは否めません。
もともと「子供って苦手」と思ってましたしね。今でこそ成人した子供たちと会話は多いんですけど、彼女たちが小さかったときは「早く大きくならないかなぁ~」って毎日思ってて。