インタビュー

「押し付けがましい母親だったと思う」アダルト業界で働き私生活でも性を探求した女性の子育て/神田つばきさん

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――子供が苦手って気付いたのは産んでからですか?

神田 もっと前から気が付いてました。自分が小学校くらいの時からかな。友達の様子を見ていて、「自分も大人になったらこんなの育てるのかぁ~、イヤだなぁ~暴れるしなぁ~」とか思ってたくらい(苦笑)。嫌な奴だったんですよ。あんまりおままごとのお母さんごっことかもしたがらなかったですね。

――でも24歳で恋愛結婚をして。子供を産むっていうことは、ご夫婦で話し合った?

神田 正直に言いますね、子供には悪いけど。結婚したときは、全く産みたくなかったです。そのうえ新婚当初からセックスレスでもありました。だけど、義母はやっぱり「息子が結婚する=赤ちゃん(孫)をもたらしてくれる」と信じていたから、「一体いつになったらできるの?」としょっちゅう言われました。私も私で、「出来るわけないですよ、うちセックスレスなんですよ、へへへ」とか言ってたんですけど(笑)。

――言ったんですか?

神田 言いました。お義母さんびっくりしてましたけど、切り返しがすごくて、「うちのお父さんはね今でも迫ってくるのよ、あの人と結婚すればよかったわね!」とか言われた(笑)。で、もうあんまりにも孫が欲しくて義母が「キィー!」とかなっちゃって、夫が「これは作る以外にないな」って言うんですね。私もそれで子作りをして。数年後、次女のときも同じ。「一人っ子じゃダメよ、変な子になっちゃう、キィー!」。で、セックスレスなのに、すると1回で出来ちゃいましたね。

――いつからセックスレスだったんですか?

神田 結婚して3カ月くらいから少なくなって……もう2年目からはあんまりしてなかったですね。私の迫り方も悪くて……「どうしてしてくれないの?」とか直球で聞くものだから。ムードとかないんですよ、私。ムードの出し方もわからなかった。でも縛ったりされたかったから、いきなりバンダナ渡して、「これで縛ってみて~」とか言って……夫には「本当に勘弁して」って言われてました。

――結婚するまではしていたのでしょうか?

神田 してました。結婚して家族にならなければ、セックスレスにはならなかったかもしれないけれど、毎日家に一緒にいると、やっぱりあんまり盛り上がらなくなってくるんですよね。よく聞く話ですし、そういうご家庭多いと思う。うちは特に、義母の仕切る大きな家で私は女兵士だったでしょう、だから元夫は、自分の中の男性性みたいなものを、ある程度隠して家に入らないと耐えられないんじゃないかなっていう感じがすごいあった。可哀想だったのは夫だったかも。

――お子さんが誕生してからは、専業主婦で家事育児をつばきさんが。

神田 そうですねえ。ああ、子育ての何が嫌だったかって、小さい子の相手をするのが苦手というのもあるんだけれど、実際に子育てして「あ、私はこれが嫌なんだ!」って思ったのは、<いい母親になるには親コミュニティの中で情報強者にならないといけない>っていうことでしたね。今で言うマウンティングのようなこと、昔からありましたから。私、人と仲良く出来ないの、大体。だけどものすごく気を遣って周囲と仲良くしてたんですね。

――本にも書いてありましたね、子宮摘出手術の前まではすごく気を遣ってたと。

神田 仲良く出来ないから気を遣っちゃうのね。ママ同士の付き合いだったり、PTAだったり、自分なりにちゃんとやった気ではいたんですけど、役員としての仕事だけやればいいってものでもなかったみたいで。もっとお母さん同士の情報を収集して、それこそ会話の中で取材しなきゃいけないみたいなルールがあるんですよね、そうしないと親子ともども浮いちゃう。親同士仲良くなりましょうねとか言って、家を行き来とかするんですけど、もう肩凝っちゃって。夫もそういうの苦手でしたから。

――自宅にも義母がガチャガチャ入ってきますしね、休まらないですね。

神田 唯一楽しかったのは、住んでたマンション内でのお母さん同士でのコミュニティ。みんなで旅行に行ったりもしたし、今でもたまに飲み会に呼んでくださったりとかして。

――それが楽しいのは子供が同じ学年とか同じ部活とかいう縛りがないからなんでしょうか?

神田 そう、仕事も子供の年齢もバラバラだし、国籍も色んな人がいたのね。みんなすごいの、ハッキリ悪口を言うの! 隣の奥さんが中国人の奥さんに「北京の空港、くっさいわね! 中国で売ってる洗剤が粗悪だからくっさいのよねぇー」って言うと、中国人の奥さんも怒るんだけど言い返して笑ってたりとか。私は専業主婦で、義母から働くことを禁止されていたんですけど、バレないようにこっそりテスト採点とか内職を請け負ってたんですね。次第にマンションの人たちも一緒にやるようになって、山ほど回ってくる用紙の束を皆さんに回す元締めみたいになってました(笑)。この間、20年ぶりくらいにそのときのマンションの友人に会ったら、「今でもあれ続いてるのよ。元締めは今誰ちゃんのお母さんがやってるわよー」と言われました。

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ヒポポ照子

東京で働くお母さんのひとり。大きなカバを見るのが好きです。