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女性が性にまつわるアートを楽しむときに必要な「カルチャーという切符」

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 今冬はド直球に性を扱うイベントが多いですね。日活ロマンポルノ製作45周年を記念した「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」については以前少しご紹介しましたが、現在は行定勲監督作品『ジムノペディに乱れる』が公開中、12月17日からは塩田明彦監督策人『風に濡れた女』に引き継がれます。関連したトークイベントなどもあちこちで開かれているようです。ぜんぶチェックできないほど!

 もうひとつの目玉は……といっておきながら、会期終了間近(2017年1月9日まで!)なのですが、東京・原美術館で開催中の「篠山紀信展 快楽の館」です。いわずと知れた大御所写真家が、女性32名+男性1名のヌードを撮りおろし。モデルとして参加しているのは壇蜜さんが最も有名ドコロでしょうが、messy的には紗倉まなちゃん、三上悠亜ちゃんあたりも忘れてはいけません。しかもその撮り下ろされた場所が、原美術館。1938年に建てられた西洋モダニスム建築の美術館で撮影をし、同じ場所で展示するという企画です。

 裸を鑑賞する=基本的にはひとりでする行為、という意識が私たちには根付いています。そこにエロスを感じるのはきわめてプライベートな体験で、さらにそこからマスターベーションなどの行為に発展する場合はますますその度合いが高まります。かつては成人映画やストリップなど大勢の観客が同じ裸を観る、という文化がありましたが、アダルトビデオが登場して自室のテレビでひとりで鑑賞するものへと変容し、スマホでも視聴できる現在においては、小さい画面と自分という、ミニマムな空間で鑑賞できるものとなりました。私もよく、布団にもぐり込んで観ていますしね。

女性が元気にはなってきたけど

 そんな鑑賞スタイルに慣れてしまった私たちにとって、そこに居合わせただけの、知らない人たちと一緒になって裸の写真を観るのは、とてもユニークな経験となりえます。

 ただ、こうした場では総じて女性のほうが活き活きしていますね。昨年に東京で、続いて京都で「春画展」が開かれましたが、そのときも「女性客が元気だ」という現象がメディアでも盛んに採り上げられました。私もその元気な女性のひとりですし、現場でもキャッキャいいながら鑑賞している女性グループ、お気に入りの作品にじっと見入っている女性の姿を多くお見かけしました。

 先日お伝えした、日活ロマンポルノを鑑賞するイベントも女性限定でしたが、チケットがすぐにソールドアウトになったと聴いています。女性のみなさん、張り切ってますね! トークイベントのゲストで著述家・ディレクターの湯山玲子さんも「女性がこうしてエロを愉しむために行動するようになったよね」といった主旨のことをお話をされていました。「ただし、“カルチャー”のチケットがあるものなら、ね」とつけ加えられたのが印象的でした。

 春画は「世界で認められた性の表現が、やっと日本でも」という触れ込みで大々的に展示されましたし、日活ロマンポルノも現在のAVとは違い、あくまで映画というフォーマットのなかに裸があり、濡れ場があり……という形なので芸術的、文化的と評されることが一般的です。実際、ロマンポルノからキャリアをスタートさせ、いまや名前の前に必ず“巨匠”や“日本を代表する”といったフレーズが付けられる監督も少なくないので、日活ロマンポルノはすっかりエロ遺産というより文化遺産として扱われるようになりました。

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桃子

オトナのオモチャ約200種を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。

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