まさに、至れり尽くせり。ノンケ女性も、女性同士でしか感じられない悦びを知ることで、新たな愉しみを見出すことが多いという。
ゆう「この人、タチっぽくふるまっているけど実は隠れネコだなぁとか、回数を重ねていくとその人が求めていることも徐々にわかってきます。自分の思い込みとは違っていた、という女性も少なくないですよ。この仕事をしていていちばんうれしいと思うのは、プレイが終わった後に『ああ、来てよかった……』って自然につぶやかれるとき。『ヤバい、どうしよう』『わあ、扉開いてもうた』なんていわれると、よっしゃ! とガッツポーズしたくなりますね」
決められた時間内に、決められたルールのもとで最大限の悦びを……という、ゆうさんの気概が伝わってくるエピソードだ。しかし、御坊さんによると、そうして扉が開いてしまったがゆえに恋愛トラブルに発展することもあるという。
レズ風俗は“特殊”ではない。
御坊「お客さまがキャストに本気になったあげくストーカー化したケースも、これまでに何度かありました。これはレズ風俗店に特有の現象ではなく、一般的な男性向け風俗店でも同様のことが少なからず起きていると聞きますから、広く風俗業特有のトラブルなのでしょう。お客さまに安心して遊んでもらうことはもちろんですが、キャストの安全も再優先に考えて対策しています。でも、ゆうさんはそうしたトラブルとは無縁ですね」
ゆう「私、ズブズブにならないよう距離感を保つのが得意なのかもしれません。踏み込ませないよう隙を見せない、っていっちゃうとイヤラシイし、ドライな性格だと思われることも多いんですけどね。でも、のめり込みそうになっているにの自分で気づき、『あかんあかん』と踏みとどまってくれるお客さまもいますよ。相手の性別はさておき、女性がこうした風俗で遊ぶこと自体に慣れていないんだと思いますが、お客さまにはきれいに遊んでほしいですね。せっかくレズ風俗という、日本ではまだ数少ないお店にたどり着いたんだから、上手に夢を見てほしいです。そのために、私も全力を注ぎますから!」
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“レズ風俗”という単語はそれだけで刺激的で、現状では、働く女性も利用する女性も奇異な目で見られがちだ。男性にポルノ的に消費されることだってあるかもしれない。しかし、外野がそれをどれだけ解釈しようとも、同店が提供しているものは、とてもシンプルなものである。“女性と触れ合いたいという率直な欲求を持った女性に、女性が応える場”……それ以上でも以下でもなく、ゆうさんもそこに特別な意味付けをしない。どこまでも自然体で、この仕事に臨んでいるように見えた。その気負いのなさにより、レズビアン風俗の利用がビアン女性だけでなくノンケ女性にとっても特別ではない、“ごく普通のことだ”と思えてくるのだった。
(三浦ゆえ)
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