『潜入捜査アイドル・刑事ダンス』(テレビ東京)も残すところあと2回だ。これまでデカダンスが巻き込まれてきた数多のトラブルが、大手芸能事務所ライトニングボルト会長の進堂栄一(升毅)、俳優の吉光全(片岡鶴太郎)、警視庁特殊芸能課の篠原課長(近藤芳正)によって自殺に追い込まれた父親の復讐を果たすために仕組まれた、ユーヤ(大東駿介)による策略だったことが判明した。ストーリーとは無関係だが、最近「即身仏か?」と一部で話題の片岡鶴太郎、ちゃんと役者している。
事の真相を知った辰屋(中村蒼)を除くデカダンスメンバーは、都知事就任パーティーで吉光の殺害を目論むユーヤを必死で止める。しかし、拳銃を片手に「すべては復讐のために生きてきた」と語るユーヤにその声は届かなかった……というのが前回までの話。12月17日に放送された第11回はその続きから始まる。シリアスなシーンから一点、「なんてな! どっきりだよ!」と、手に持っているのが水鉄砲であることを明かすユーヤ。「俺はデカダンスの一員だ。みんなに迷惑をかけるようなことはしない。今夜は楽しもう」とユーヤは明るく振舞う。しかしデカダンスのメンバーはその言葉を信じきれずにいた。
そんな中、デカダンスはメンバーで誓い合った「いつか武道館でライブを開く」という夢を実現するための「ROAD TO DREAM計画」を記者会見で発表する。「共にトラブルを乗り越えてきた。長い間一緒にいて(すかさず「といっても3カ月だろ」という突っ込みが入る)、メンバーのことを考えられるようになってきた」と夢を語るデカダンスメンバー。その中でただ一人表情の暗いテル(森永悠希)は、「いきなり誰かがいなくなるとか、なしだからな」とユーヤを牽制する。
テル「アイドルなんだよな、どっきりを仕掛ける側は面白くないぞ」
ユーヤ「怪しいと思っても疑わずに素直に騙されろって教えてくれたのはお前だぜ。あの時は酷かったな。仕掛けが全部バレバレで」
ユーヤの台詞は「一巡目(売れ始めた芸能人が各バラエティ番組に声をかけられる時期)あるある」を取り上げた第4話で、バレバレのドッキリを仕掛けられたデカダンスが、カメラの前に立ってしまうなど空気の読めない行動をする中で、テルがたしなめる際に吐いた台詞をなぞったものだ。子役として芸能界に身をおいていた経験があるからテルだからこそ、これまでメンバーの行動を俯瞰的に見渡してきた。それがほぼ全てから空回りに終わってしまったのはさておき、芸能界におけるデカダンスの立ち回りを最も考えてきたのはテルだったのは確かだ。だからこそテルはユーヤを牽制したのだろう。
「真っ直ぐで馬鹿な辰屋にはこの問題を抱えきれない」と判断したメンバーは、ユーヤの復讐計画を辰屋に話さずにいた。吉光全・都知事就任パーティー当日、ただ一人無邪気にはしゃぐ辰屋。なんせ吉光全は、辰屋が刑事に憧れるきっかけとなったドラマ「漢!刑事泣き虫」の主演だ。浮かれるなというほうが無理がある。辰屋はメンバーの気も知らず「漢!刑事泣き虫」の決め台詞クイズを出すが、メンバーはまったく答えられない。そんな中、父親を殺されるまでは辰屋と同様に「漢!刑事泣き虫」に憧れていたユーヤだけが、寂しそうに答えをつぶやく。「刑事(デカ)ってそういうもんだろ?」。
場面は変わる。吉光と篠原が、ユーヤの復讐への対策を密談している最中に突然辰屋が現れる。と吉光にサインをもらいにきたのだ。あいかわらずアホで無邪気な辰屋をみて、篠原はある余興を思いつく。「辰屋に吉光のスーツを着せれば……」