カルチャー

片岡鶴太郎演じる熱血刑事に憧れた男と憎んだ男『潜入捜査アイドル・刑事ダンス』/第11話レビュー

【この記事のキーワード】

 再び場面が変わる。吉光の控える部屋の前に立つユーヤ。メンバーで一丸となって乗り越えてきたトラブル。武道館を目指すという夢。そしてテルと交わした「何も疑うな」という会話……過去を振り返り決意したユーヤは扉を開ける。そして銃声が鳴り響いた。

 ……。血を流し倒れているのは辰屋だった。慌てふためくユーヤの元に吉光が現れ、SPがユーヤを取り押さえる。

吉光「吉光全を殺そうとしていたのか」
ユーヤ「まさか、罠だったのか! 早く辰屋を病院に!」
吉光「そういうわけにもはいかないよ。殺人事件にでもなってくれないとブタ箱にぶち込んだままにしておけないからね」

 勝ち誇る吉光と篠原、取り押さえられたままのユーヤ、そして血を流し倒れている辰屋。

 「おはようございま~す!」突然、場違いに明るい声が部屋に鳴り響いた。

 「てってれ~」という掛け声と共にお決まりの看板を持ったテルたちが部屋に入ってくる。ユーヤが復讐を断念していないことを察したデカダンスメンバーは、ユーヤの殺害を阻止すべく、即興でドッキリ大作戦を画策していたのだ。この様子はすべて隠しカメラによってパーティー会場内に映し出されていた。さらにデカダンスが作成した「吉光全 栄光の足跡」というVTRが会場に流される。

吉光「思えばいろいろやってきたな」
吉光「全てが自分のタメになることばかりでしたね」
吉光「(タメになったこととは?)そりゃ犯罪だろ」

 吉光の過去の映像を意図的に編集したVTRだ。第5話で、やらせと印象操作を得意とする悪徳ディレクターがデカダンスを貶めた際に使用したお得意のメソッドだ。トラブルを乗り越えてきたデカダンスは数多くのことを学んできていた。「目に見える部分が面白ければ受け手はそれを喜んでくれる。俺らが芸能界で散々学ばされてきた汚ねえ裏側だ。マスゴミめ」と、芸能界だけでなく軽く視聴者もdisるショウ(横浜流星)。本レビュー第一回でも書いたことだが、メタ芸能界を描く「刑事ダンス」は、芸能界を揶揄するだけでなく、芸能界を見る私たちへの問いかけをずっとしてきた。需要があるからこそ供給がある。私たちは芸能界をどんな目で見ているだろう。

テル「お前なら気づいてくれると思ったよ」
ユーヤ「素直に騙されてみるもんだな」
テル「当たり前だろ、お前はアイドルなんだからそっちのほうが美味しい結果がまっているんだよ」

 ユーヤが本物の銃を持っていたのは確かだ。この計画に気づいていなかったら辰屋を本当に撃ち殺してしまったかもしれない。いつユーヤはこのどっきりに気づいていたのだろう。

1 2 3