それにしても、実母がいつも面倒を見てくれるなんて……正直羨ましすぎてヨダレが出る。実母との関係が良好であることも、毒親育ちの筆者には羨ましすぎる話だ。実母が毒親だったらこうはいかない。1度預けるだけで母親側から何かとんでもない言葉を浴びせられ大喧嘩になるだろう。仕事をしながら育児を両立してバリバリと活躍し続けている高島から、その両立方法を知りたいという思いもあり本書をくまなく読んだのに、結局“関係良好な実母がいつも娘の味方になってサポートしてくれている”という無敵の環境だったことがわかって、ただただ羨ましさだけが残る結果となった。高島の実母、おばあちゃんなのにひとりで2人の乳幼児を預かってくれるなんて、スキルが高すぎだろう。読むうちにどんどん高島でなく実母が気になってきたところで、そんな読み手の要望に応えんとばかりに、なんと実母のインタビューが巻末に掲載されていた。
高島の父で俳優の竜崎勝は、高島が5歳の頃に44歳の若さで亡くなっている。そのため実母は女手ひとつで高島とその弟を育てた。そこについて実母は「実際には色々な意味で恵まれた環境の中におりましたので、親戚友人に支えられて、伸び伸びと明るく育つことができたのかなと思います」と振り返っており、苦労はあったのだろうがそれを一切語らない。あくまでも、子供の頃はワンパクでおっちょこちょいだった高島が、成長してアナウンサーという職につき、結婚をして2児をもうけ、一人の大人となったことを感慨深く振り返っている明るいインタビューだ。確かに母娘仲は良さそうであり、現在もある程度の距離感を保ちながら娘を見守る様子がうかがえる。「私自身の子育てを振り返ってみると、私一人が頑張って育てたのではなく、たくさんの方に愛情をいただいたからこそ、今があると思っています。一方で、亡くなった夫に恥じないように“私はちゃんとしていなきゃ”という思いがとても強かったように思います。それこそが、私が生きていく、子育てをしていくモチベーションでした」って本当、立派な人である。
2人の子育てをしながら仕事にも復帰しその一環としてエッセイ本を出した高島の時間やりくり術を知りたい気持ちで紐解いた本書だったが、実母からの全方位的なサポートがあってこそ、いまの高島の生き方が成り立っていることが分かった。というよりもこの本で一番気になってしまったのは、実母以上に、義母であり、宗教法人かむながらのみちの教主である北川慈敬のことに一切触れられていないことだった。宗教法人の教主であるが高島の義母という個人としての関係など少しでも書かれているかと思いきや、1文字も言及がない。義母の話題は高島の仕事において完全タブーであることが分かった一冊であった。
(ママタレ本ウォッチャー京子)
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