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ひとり暮らしをはじめ病院探しを再開…が、セクハラ連発の男性医師に遭遇!

【この記事のキーワード】

「子宮内膜症疑いで卵巣が腫れてるそうなんですが」

 ゆよんゆよんとMRIを渡しながら夢子が告げると髭野郎は「フン」といっただけでMRIを見ようともしないの。

「そんなことよりさあ……アンタ、アッチの方はどうなの?」

「? アッチの方ってなんですか?」

夢子はぽかーんとしながら馬鹿みたいに髭野郎に聞き返したの。まったく、夢子さん、アンタは鈍いのよ。

どいつもこいつも…

 髭野郎はせせら笑いながら夢子の質問には答ないまま、内診台にのるように命令したわ。ここも年季の入ったアルファ・イン型の内診台だったわね。反射的に服を脱いで内診台に乗った夢子だけど、「アッチの方」の意味が夜明けの風景のように徐々に頭のなかでクリアになっていったの。

(んん? もしや、もしや……「アッチの方」って……SEXのことかーーーっ! ああっ、まったく! どいつもこいつもセックスのことしかいいやしない! )

 夢子は喉の奥にボウリング玉が詰まったような窒息感と、お母さまに電話したときと同じ吐き気に襲われたわ。

「やっぱりいいです!」

 そう告げて足をぴったり閉じ、内診台から飛び降りたの。へらへら笑いながら「えっ、大丈夫だよ~」とかなんとかいうだけの髭野郎を尻目に、服を着て診察室を飛び出したの。診察料はしっかり取られたけどね。そして2週間後にまた来るよういわれたけど、

(二度と来ねえよ!)

 そう心の中で吐き捨てて、涙目でそのクリニックを後にしたの。

(大和彩)

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大和彩

米国の大学と美大を卒業後、日本で会社員に。しかし会社の倒産やリストラなどで次々職を失い貧困に陥いる。その状況をリアルタイムで発信したブログがきっかけとなり2013年6月より「messy」にて執筆活動を始める。著書『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』。現在はうつ、子宮内膜症、腫瘍、腰痛など闘病中。好きな食べ物は、熱いお茶。

『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』