沖田は自ら進んでシアトルに旅立ったわけではなかった。実は小学校時代からの親友・壇上壮大(浅野忠信)の策略によって、病院を追い出されていたのだ(そのことを沖田は知らない)。深冬と結婚し副院長の座に上り詰めた壮大だが、もともと深冬はアメリカに旅立つ前の沖田と付き合っていた。現時点ではっきりとした描写はないが、おそらく壮大は、深冬を奪うために沖田をアメリカに追い出したのだろう(院長が沖田の腕を買っていたことに危機感を覚えたためなのかもしれない)。ちなみにこの壮大、壇上記念病院の顧問弁護士・榊原実梨(菜々緒)と不倫している。
病院経営を優先する壮大と「病院は患者のためにある」と考える虎之助はソリが合わず対立している。病院は壮大寄りの雰囲気があるようで、虎之助の味方は少ない。第一外科部長の羽村圭吾(及川光博)は、利己的な人物として描かれ、虎之助よりは壮大に近い人物に見える。父親が関東外科医学会会長の、心臓血管外科医・井川颯太(松山ケンイチ)は、良くも悪くも素朴ながらプライドは高いという典型的お坊ちゃんで非常に頼りない。現時点ではどちらかというと壮大、あるいは羽村よりのようだが、沖田の手術をみて感銘を受けた描写もあり、変化の可能性を感じさせる人物でもある。その他の医師は日和見で、「院長は考え方が古い」とどこか冷めた態度でいる。
少し異質な存在なのが柴田由紀(木村文乃)だろう。手術の際に沖田が指示を出す前から道具を用意しておくような一流のオペナースである柴田は、井川からのアプローチを相手にしないクールな人物として描かれる一方で、困難な手術について沖田と共にアイディアを考え、光明が差したときにハイタッチするような人物でもある。沖田に対して「こんなところにいるべきではない」と意見するシーンからは、柴田自身、しがらみの多い日本の病院にうんざりしていることが伺える。女性がゆえに実力を発揮できない、という経験をしているのかもしれない。柴田が沖田に対して好意を寄せるのか、それとも実力のある者同士のタッグとなるのか気になるところだ。