もちろん平均20%以上の視聴率を獲得する人気シリーズ『ドクターX』(テレビ朝日系)の米倉涼子も、「こんな医者いない」と言わせるに足る人物である。ミニスカートに生脚・ハイヒールで闊歩し、どんな稀有な症例も一発で見抜くうえ手術は「絶対に失敗しない」。だが木村ドラマの場合、『ドクターX』のようなコミカルな要素があるわけでもなく、型破りな医者という設定でもない。木村演じる医師の専門は心臓血管外科なのに、元恋人である竹内結子の脳腫瘍治療に挑むという点も謎だ。全体的にシリアスな演出にもかかわらず、ただただ木村がかっこよく見えるようにお膳立てしていることで、違和感は強まる。
44歳という年齢を考えても、ひたすらカッコイイ役柄を演じるだけでは役者として先細りしていくことは明らか。平凡な会社員で妻子持ちの男を演じた『アイムホーム』は、良い方向性のように思えたが、ここへ来て逆戻りしていることが残念である。もちろん視聴率はドラマ評価のすべてではないし、役者だけが視聴率を背負うのも間違っている。ただ、『A LIFE~愛しき人~』初回放送が第二話以降を「見たくさせる」内容であったかどうか。
1月10日に放送された草なぎ剛主演ドラマ『嘘の戦争』(フジテレビ系)の初回平均視聴率が11.8%となり、各スポーツ紙では「元SMAP対決は木村勝利」「さすが木村さん高視聴率!」とヨイショの声が上がっているが、ここが逆転する可能性もある。『嘘の戦争』第二話は12.0%で、初回よりも上げてきたからだ。『A LIFE~愛しき人~』が第二話以降、初回を上回り右肩上がりの視聴率を獲得し続けることは果たして出来るのだろうか。
(ゼップ)
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