
(C)shiqchan
ネット検索でちょうどよさそうな「舐め犬」を発見し、メールでアポを取ったあたし。
その舐め犬Aは、アラサー会社員で長身細身、年齢より若く見られるって言われます、と自己紹介しているけど男の「年齢より若く見られる」は鬼門だし男は客観性に欠ける奴が多い(しQペディア調べ)から迷ったけど、最終的にAが「チンチンが小さい」こと、「挿入が嫌い」なことを自己親告しているからGOの判断を下したキュウ。
<前編:「舐め犬」に心ゆくまで性感帯を舐められたい! 舐め犬探しの旅がはじまったキュウ>
何度かメールを往復させて、初対面の日を決めたキュウ。
あたしと舐め犬Aの予定が合うのは、とある平日の夜。
その日は、初めてメールを送ってからわずか1週間後。
集合場所は都内某所の繁華街。
指定された場所はラブホ街の入り口付近だったキュウ。
会ったらお茶とかしないで直行でラブホに行くコースなんだな……と察知したあたしは正直言って不安だらけだったキュウ。
今までネットで知り合った人と直接会うことは何度かしたことがあったキュけど、それは別にエロ目的の出会い系とかじゃなかったキュウ。
エロ目的でネットで人と会うのは初めて。緊張するキュウ~~~~!
しかも、すぐラブホとなると逃げ場がない!!!
サイコパスな野郎で、ラブホに入った途端に人格急変して殴られたり殺されたりしたらどうするキュウ!?
あたしの知人男性に聞いた、マジでチビりそうに怖い話があるキュウ。
そのひとの知人である男性はプロボクサーで筋肉ムキムキ。
だけど彼にはヤバい性癖があり、女性をボコボコに殴り何も抵抗できない状態で犯すのが趣味らしいという。
女性と知り合った時点で、名前も素性も嘘を言い、いい感じになったらホテルに入り、そこで豹変してボコボコに殴る。
そして女性を犯し、ポイ捨てするかのように女性を置き去りにして逃げる。
素性を一切言わないから捕まっていないんだ、とあたしの知人は言っていたキュウ。
この話が真実なのか作り話なのか定かではないけど、恐ろしすぎてあたし、数日間眠りを妨げられたキュウ。
ラブホ街の入り口待ち合わせって指定されてからその話を思い出し、おしっこチビりそうキュウ……。
もし最悪の事態が起こっても、
世間のみんなは「出会い系で会った男と即ラブホに行くお前が悪いんだろ」扱いするキュよね? 絶対。
性犯罪が起きると、女にも落ち度がある扱いされるキュウ。
女には気軽に行ける風俗もないし、自分の欲望に素直に従って、たまたま相手が悪い奴だったっていうだけなのに(しかも力では男に勝てないし)、女に非がある扱いするキュウ?
男がデリヘル呼んで屈強なヤクザに囲まれてボッコボコにされて金を奪われたら、その男はかわいそうがられるキュウ。女が出張ホスト呼んで同じ目に遭ったら……。ゾッ。
こんな社会クソくらえやキュウ!!!
は~~怒りが込み上げてきちまったキュウ。ふぅ、クールダウン……。
それはさておき、万が一に備えて私はあらかじめ友人2人に「今度舐め犬に会ってくる」と伝えたキュウ。
「へ?? 犬???? 何それ!!??」
その質問に答えた後、もし自分に何かあったら舐め犬と会ったことを証言してくれと頼んだキュウ。
1人の友人は心配して、とりあえず経過報告のメールをして! とお願いされたので、報告をすることにしたキュウ。
これなら、私からの返信が尽きたときに心配してくれる人がいるキュウ……!
これだけでもちょっと安心できたキュウ。
さんキュウ~~友人!
悪い奴は不安な人を狙ってやってくる
舐め犬との約束の時間が近づいてくると、あたしの不安はピークに達したキュウ。
ただの気持ち悪いおじさんが来たとかなら、なんとかやり過ごせるけど(それも嫌だけど)、犯罪目的のイカレた男が来ちまったらどうしよキュウ……ぶるぶる。
ハッと閃いたキュウ。
催涙スプレーを持って会おう!
これなら、万が一のときのためにもなるかもキュウ……と思い、近隣に催涙スプレーは売ってないかググったキュウ。
東急ハンズになら売ってると思っていたけど、販売はされていないようで、あたしは必死に検索したキュウ。
会う時間まであと少し……どこかに売っててくれキュウ!!!
スマホで必死に検索して超古くさ~~い、いつ作ったんだ?って感じのサイトを発見! 防犯グッズを売ってるお店のサイトだったキュウ。
店舗は待ち合わせ場所から近く、早速向かったキュウ。
そこは、まさにラブホ街の片隅にあるお店だったキュウ……。
こんな所に防犯グッズのお店がるキュウ? と若干の不安を憶えたうえ、近付くと店舗は風俗店が入っているビルの中だったキュウ。
2階、3階と上がっていくとどこも風俗店の入り口(しかも動いてる人影が見える)でギョッとしたけど、最上階にそのお店はあったキュウ。
お店にしては開放感がなく、ドアも自動じゃない。開けていいのか? と一瞬戸惑うも、あたしには時間がないキュウ!
思い切って開けると、小さなお店の中には物が溢れており、隅のカウンターに仏頂面の初老男性が一人座っていたキュウ。
「……。何か怖いことでもありましたか……?」
暗いトーンで聞いてくるおじさん。
しQ「いいえ、怖い思いはまだしてないんですが、防犯のために催涙スプレーを探しているキュウ……」
おじさんは棚から催涙スプレーを取り出し、説明をしてくれたキュウ。
「この催涙スプレーはアメリカから取り寄せている物で、こんなに優秀なのはなかなか他では手に入らない。暗闇でも握って発射できるように設計されている。誤発射しないような作りだから安心して」
お店にある空の催涙スプレーで試し打ちをさせてくれたりもしたキュウ。
それを購入すると伝えたらおじさんは、こんな話をしてくれたキュウ。
「弱気な心を持った人を、悪い奴は狙ってやってくる。怖い怖いと怯えていると、そういう人が寄ってきてしまう。催涙スプレーを持つことによって、いざとなればこれがあるから大丈夫、といった心の余裕が生まれる。そうなると悪い奴は寄ってきにくくなるんですよ。忘れないでくださいね」
うう、余裕が大事キュウ……!
「いざとなれば催涙スプレーがあるから!」と自分に安堵感を与えること。
しQ、忘れないキュウ。
あたしは催涙スプレーの包装を破き、いつでも使える状態にして鞄のポケットに忍ばせたキュウ。
さっきのあたしよりも催涙スプレーを入手した今のあたしの方が強い心を持っていられるキュウ……!
さんキュウ~、お店のおじさん!!