このTakaの投稿に、「海外まで応援しに来てくれたファンにその言い方はなんだ」といった調子の批判も出ているが、それこそ客側が「お客様は神様だろう?」とイチャモンをつけているようにしか見えない。ステージ上の彼らを「応援」するだけにとどまらず、プライベートである移動や食事の時間まで追いかけ回し写真を撮る行為の、どこに正当性があるのだろうか? Takaが今回の言葉をツアー後に綴ったのは、ツアー中に変な問題を起こしたくないということはもちろん、せっかく海外まで応援しにきてくれたファンを、せめてこのツアー中だけは自由にさせてあげようという優しさからではないだろうか。バンド側がここまでファンに気を遣っているのに、ファンがその気持ちを汲めないことはあまりにも悲しい。
熱狂的なファンの最前列陣取り問題については、ジュリーこと沢田研二も過去に苦言を呈していた。当時の「週刊現代」(講談社)によると、沢田のライブは未だに女性ファンが9割程度を占めるほど、沢田はアイドル視されている。しかしそんな熱狂的なファンの一部が最前列を毎回陣取るため、あるライブ中のMCで沢田は「いつもいつも同じ人たちの前で歌う身にもなってほしい。コンサートに来るなとは言わないが、出来たら真ん中より後ろに行ってほしい。前のほうには地元のファンのみなさんに来てほしいんだ」「ボクもこれまで我慢してきたが、限界がある」と、ほとんど今回のTakaの言葉と同じような発言をしていたという。
常に最前列を確保したい、時間もお金もある、違法行為を犯しているわけでもない。だとしても、一度立ち止まって「譲り合い」の精神を思い出してほしい、と彼らは言いたいのである。
アイドルに関しても、同様の問題は起こっている。たとえばAKBグループでは握手券一枚につき数秒間メンバーと握手ができるのだが、一部のファンは握手券を何十、何百と出し、しばらくお目当てのメンバーを独占することがブレイク以前から問題視されていた。もっともこのケースは運営側がシステムを変更すればどうにでも対処可能なはずだが、1人のファンが何十枚何百枚と同じCDを購入してくれるという旨味のある商売であり、改革される日が来ることはないだろう。
また、プライベートまで追いかけ回される問題に関しては、以前、元Hey! Say! JUMPの森本龍太郎がファンにしつこくストーカーされた挙句、ケータイをひったくられるという事件があった。他にもジャニーズアイドルはしょっちゅうプライベートで被害をうけているようで、ストーカーに対してはとにかく逃げる、キレて追い払う、あえて優しく接するなど、各々がさまざまな方法で解決策を見出しているそうだ。
もちろん問題行動を起こすのはごく一部。ほとんどのファンは、アーティストやアイドルに迷惑をかける行為などしない。そのごく一部に対して、Takaは今回、声を届けるべく行動に出たのだ。毎回ライブの最前列を陣取るほどの熱烈ファンならば、おそらくTakaの言葉が届いているはず。芸能人も一人の人間。お金を払って応援しているから何をしてもいいという考えを持っている一部のファンは一度改めるべきだろう。
(ボンゾ)
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