新作映画の上映にあたって、しばしば“みどころ”として伝えられる男女の濡れ場。たとえば豊満ボディの女優が脱いだとか、清純派女優が娼婦役を演じて客の男と絡むとか、自慰シーンがあるとか、そういった濡れ場PRは邦画・洋画を問わない。
3月3日公開予定の韓国映画『お嬢さん』の前評判も凄まじい。劇中では、美しい令嬢・秀子を演じるキム・ミニと女中・スッキ役のキム・テリが女性同士の激しい濡れ場を披露している。大胆で官能的な濡れ場を撮影するにあたって、演者に大きなプレッシャーがかかる場面なだけに、パク・チャヌク監督はストーリーボードを練りに練って、入念な準備を重ね、スタッフを全員退去させて撮影を敢行。本作の予告編制作にあたり、官能的なシーン、ベッドシーンのいくつかは映倫と韓国本国によりカットされたほどだ。問題のラブシーンは、うぶな秀子にスッキが愛撫の手ほどきを与える場面からはじまり、69の体制で交わりあい、互いに性器を擦り合う激しいセックスシーンを披露しているそうだ。
「スゴイらしい」とウワサが広まったものの、実際にその作品を見るとたいした濡れ場ではなくて(明らかに着衣のままで交わっているとか、ほんの30秒たらずとか)、肩透かしをくらうことも多いが、韓国で”19禁”映画の新記録を打ち立てた『お嬢さん』は本物のようだ。濡れ場が話題になる映画の中には、公開から何年もの月日を経てもなお語り継がれる「伝説の濡れ場」もまた、ある。今回、名濡れ場シーンを持つ鉄板映画作品を5つ後紹介したい。
『ラスト・タンゴ・イン・パリ』(1973)
イタリアで公開4日後に上映禁止処分を受け、大きな物議を醸した1作。アパートを探す過程で偶然出会った中年の男と若い娘の刹那的な性愛を描く。実際に性行為に及んだ過激な濡れ場が原因で、主演の二人は裁判に問われ、わいせつ罪を受ける。2016年、レイプシーンの撮影が女優に知らされず行われていたことが注目を浴び、またも物議を醸している。
『愛のコリーダ』(1976)
昭和11年に実際に起きた“阿部定事件”を元にした作品で、男女の愛欲の行く末を描くエロティックドラマ。濡れ場では出演者同士が本番行為に及んでおり、検閲を避けるため日本での撮影後、フランスで編集が行われた。日本公開時は大幅にカット・修正が入り、修正が入っていないオリジナル版は現在も日本では上映できない。
『ベティ・ブルー』(1986)
海辺で暮らす作家を目指す青年ゾルグと偶然出会った情熱的な若い女ベティ・ブルーとの燃えるような熱い恋愛を描くドラマ。初公開から数年後に60分近い未公開シーンを付けた新たなver.が公開されたが、激しすぎる濡れ場シーンが猥褻とみなされ、映倫の審査に通らず……。上映時には修正が入った。
『ニンフォマニアック』(2014)
ある年配の男性が、冬の日、家の裏通りで怪我を負って倒れている女性を見つける。介抱された女性は、幼い頃から性に強い興味があったといい、今まで経験した数々の性体験を告白していく。そのタイトル通り複数の女優が体を張った濡れ場を披露した。日本公開時のレイティングはR-18。
『アデル、ブルーは熱い色』(2014)
偶然出会った若い女性同士が、激しい恋に落ちる情熱的な姿を描いたラブストーリー。カンヌ映画祭で上映され、10分以上も続く濡れ場シーンが絵画のように美しいと映画祭の話題を席巻した。作品は最高賞のパルムドールに輝き、見事に演じきった女優の二人にも史上初のパルムドールが贈られた。
_________
『お嬢さん』3月3日(金)、TOHOシネマズシャンテ他ロードショー
公式HP:http://ojosan.jp/
ⓒ 2016 CJ E&M CORPORATION, MOHO FILM, YONG FILM ALL RIGHTS RESERVED